第一章
[2]次話
塩対応
長田敦子は意地悪ではなく客観的に見ていい娘であるが気分屋である、その為その時の気分で随分人への対応が違う。
今は機嫌がいいので愛想がいい、だがその中で敦子は友人達に言われた。
「あんたちょっとね」
「今は機嫌がいいけれど」
「機嫌が悪い時は全然違うから」
「対応悪いわよね」
「塩対応だから」
「それはね」
実際にとだ、敦子自身も答えた。
「私もわかってるつもりよ」
「その機嫌悪い時よ」
「塩対応なのがね」
「どうもって思ってるわ」
「今だってね」
「何か機嫌が悪いと」
また答えた敦子だった。
「私はどうしてもなのよ」
「対応が悪くなるっていうのね」
「塩対応っていうのね」
「そうなるっていうの」
「自分でわかっていてもね」
どうしてもというのだ。
「そうした対応になるのよ」
「塩対応ね」
「それになるっていうの」
「どうしても」
「気分が乗らないと」
「他の人への対応がね」
また自分自身からだ、敦子は話した。
「悪くなるのよ。自覚はしているわよ」
「じゃあなおしなさいよ」
「その塩対応ね」
「機嫌が悪い時のそれ」
「実際どうかって思うから」
「どうもね」
「それはわかっていてもよ」
それでもというのだ。
「どうしても出てしまうのよ」
「だからなおしなさいっての」
「正直困ってるから」
「あんたが機嫌の悪い時は」
友人達はその敦子に言うのだった、しかし敦子の機嫌が悪い時は本当に塩対応になる。それはどうしてもだった。
だが彼女が通っているある学校の男子生徒、背は低く唇は厚い。似合っていない先だけかけたパーマに濃いめの眉を持っていて目は丸い。名前を大溪直永という。
その大溪がだ、敦子のことを言っていた。
「俺あいつ嫌いだよ」
「塩対応でも受けたのかよ」
「だからかよ」
「長田のこと嫌いだっていうのかよ」
「それでかよ」
「あいつ気分によって対応変わるっていうけれどな」
それでもと言う大溪だった。
「俺はいつも無視だからな」
「それでか」
「そう言うのかよ」
「そうなんだよ、大体あいつな」
大溪は眉を顰めさせて敦子のことをさらに話した。
「あれだろ。裏じゃ色々とな」
「色々?」
「人の陰口言ってるだろ」
こんなことを言うのだった。
「そんな話聞いたぜ」
「えっ、本当か?」
「そうなのか?」
「そんな話はじめてだよな」
「そうだよな」
大溪の周りの面々は彼のその言葉に本当かという顔になった。
「敦子ちゃん人の陰口言うか?」
「気分屋とは聞いてるけれどな」
「それでもな」
「そんな話ははじめてだよな」
「そうだよな」
誰もがその話は本当かと疑った、そしてだった。
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