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我が剣は愛する者の為に
これから
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「丁奉さんに手加減したのも、貴方が傷ついて悲しむ美奈ちゃんの顔を見たくなかったからだと思う。」

丁奉に肩車している美奈は上から丁奉の顔を覗き込む。

「あの人って優しい人なんだね。」

美奈の言葉に俺達は頷く。
後ろから誰もついて来ていない事を知った縁は、こちらに振り向いて首を傾げている。
俺はそれを見て止めていた足を動かす。
それに続いて、皆も歩き出す。
縁は俺の隣まで移動すると耳打ちするように話しかける。

「何を話ししてたんだ?」

俺が何か話をしている事を気がついたのだろう。
気になったのだろう俺に聞いてきた。
言おうと思ったけど、これを言うと縁が恥ずかしい思いをするかもしれない。
なので、黙っておくことにした。

「秘密だ。」

「何だそれ。
 気になるぞ。」

村に着くまで、縁は俺に何度も聞いてくるが俺は質問に答えなかった。




結局、一刀があの時何を話したのか教えてくれなかった。
気になったがそれは追々聞いて行けばいい。
ともかく村に着いた。
村の人は丁奉や美奈を連れて来た事の意味を、理解したのか大はしゃぎで喜んだ。
丁奉は今まで村の人に迷惑をかけたので、深々と頭を下げた。

「本当に済まなかった。」

あれほどの巨体が頭を下げると、それはそれで圧倒される。
村人達はそれに戸惑いながらも笑顔で言う。

「何を言っているんだ。
 丁奉さんが居なかったら、俺達が飢え死にしていたんだ。」

「そうそう。
 感謝するのはこっちの方だよ。」

村の一人一人が感謝の言葉を口にする。
丁奉はその言葉を聞いて面を喰らったのか、眼を見開いている。
その後にもう一度、深々と頭を下げた。

「あのよろしいですか?」

頃合を見計らって、太史慈が手を挙げる。
俺達を含めた村にいる全員が太史慈に視線を向ける。

「私は貴方達にご報告したい事があってこの村に来ました。」

森であったときは友人に頼まれて、この村に来たと言っていたのを俺は思い出す。
何を言い出すのだろうか?

「この村の近くにある街に、貴方達村の人を移住させるように頼まれました。」

その言葉を聞いて、どよめきが広がる。
太史慈は言葉を続ける。

「この村は森の奥にありますので、兵を配備するのに時間がかかります。
 何より、ここまで孤立した村ですと、どうしても対処に遅れます。
 それは皆さまがよく分かっていると思います。」

確かにこの村がこれほど森の奥にある村じゃなければ、もっと簡単に助けを呼べたはずだ。
太史慈は彼らを街に移住させるよう、説得をしに来たのだろう。

「街には貴方達を迎え入れる準備は出来ています。
 生まれ育った村を捨てるのは未練が残るか
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