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悲劇で終わりの物語ではない - 凍結 -
マシュの心象風景U
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ました─


─その主とやらに言ってやりなさい。そんなことは自分でやれと─

 ウィスはその主に対して心底呆れたとばかりに嘆息してしまっている。
 まさかジャンヌもそんな返しが帰ってくるとは想定していなかったのか固まってしまっていた。










─景色が再び移り変わる─










 マシュの前には変わらず向き合い、対峙するウィスとスカサハの姿が。

 スカサハは朱槍を前方へと構え、ウィスを見据えている。
 だがマシュの想像とは異なりスカサハはウィスへと攻撃を仕掛けることはない。

 否、スカサハは圧されていた。
 ウィスから放たれる存在感に。

 対するウィスはただスカサハを静観しているだけ。
 だがそこに一切の隙など存在しない。

─『…。』─

 周囲を静寂が支配する。

 対するマシュもこの場の空気に圧され、ただ傍観することしかできない。


 ウィスがその紅玉の瞳を見開く。
 対面するスカサハを射抜くが如く。 







 途端、ウィスを中心にして暴風が吹き荒れた。
 かまいたちが如く風の猛威が影の国全体に波及し、暴れ狂う。
 
 地面はウィスを中心に瞬く間にひび割れ、影の国の門には大きな亀裂が走る。
 ウィスが放つ圧倒的な存在感は影の国だけに止まらず、外の世界にもその存在感を波及した。

 これが本当にたった一人の存在から放たれる力だというのか。
 マシュは大きく戦慄する。

 見れば余りの威力にスカサハは僅かばかり後退している。
 スカサハは左腕で顏を覆い、驚愕したかのように前方のウィスを見詰めていた。





 やがて周囲に吹き荒れた暴風が治まる。

 人知れずスカサハの頬からは冷や汗が流れ落ちている。
 スカサハ本人はその場に体を縫い付けられたかのように一歩も動けない。

 冷や汗は頬を伝い、顎へと流れ落ち、地面へと落下する。
 スカサハの汗は地面へと落ち、落下の衝撃によりその姿を消失させた。



 それが決戦の合図。



 次の瞬間、スカサハは原初のルーンを用いた先制攻撃をウィスへと勢い良く解き放った。
 何の予備動作も存在しない、神速の攻撃だ。

 先ずはウィスの反応を観察することを目的とした何の指向性も持たない純粋な火力重視の攻撃。

 対するウィスはその場から動かない。
 回避することも、防御の姿勢を見せることもない。

 そう、ただ静観しているだけ。
 先程と変わらずスカサハを彼女と同じ紅き双眸で見据えているだけである。





 スカサハが放ったルーン魔術がウィスへと直撃する。

 周囲に波及した火
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