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蒼穹のカンヘル
十四枚目
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は結界の外へ向かった。










ザクザクザクザク…

「いよぅ…姫島本家当主殿」

「貴様ぁ…」

「アンタ等は母さんと姉さんと俺を殺しに来たんだろう?」

「……………」

「沈黙は是と取るぞ」

「ああ、そうだ」

「俺達から手を引け、クー…あの結界がある限り、お前達は俺達に手を出せない」

突然、鈍い音が鳴り響いた。

「あ…れ?」

視線を下げると、俺の心臓を白刃が貫いていた。

「はは、はははは!殺ったぞ!穢れた血め!」

背後から別の声が響いた。

ああ、成る程、刺されたのか。

だが、それがどうかしたのか?

「何かしたか?」

白刃が結晶に覆われていく。

「な、な、何が!?」

結晶が砕けた後には何もなかった。

そう、何も。

俺の心臓を刺した刀も。

俺の胸の傷さえも。

「ば、化物めぇ!」

「なぁ当主殿、コレはそういう事で良いんだな?
いや、そもそもそちらは此方を殺しに来てたのだから当たり前か…
遠慮無くやらせてもらおうか」

俺の背後の男の両腕が結晶に侵される。

「ヒ、ヒィィィィィ!?」

「殺って良いのは、殺られる覚悟が有る奴と、逃げ切れる自信が有る奴と、やられない自信が有る奴の三者のみ…と、俺は考えるが…
アンタはどれだ?」

そして結晶が男の腕もろとも砕け散った。

「ギィィィヤァァァァァァァァァァ!!」

男の両肩、先程まで腕が繋がっていた部分から、噴水の如く血が吹き出す。

『おい!篝!』

「安心しろ…殺しはせんよ…と、言ってもこのままじゃ失血死確実か…」

男に手を向け、指を弾く。

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!……あぁ…」

男が気絶し肉が焦げるような匂いが立ち込める。

「さぁ、次はアンタの番だ。当主殿」

そう言って当主の方を向いた時だ。

何かを叩いたような鈍く大きな音が響いた。

「なんだ!?新手か!?」

「くく、くははははは!」

「おい!テメェ!何をしたんだ!」

「利害の一致だよ」

「利害だと!?」

いったい誰と、そう聞こうとしたができなかった。

何故ならクー・リ・アンセが、硝子の如く破られたのだから。

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