第五十一話 川旅その十二
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「そこはね」
「成程な」
「あとこれだと」
笑ってだ、源三は久志にこうも言ったのだった。
「パスタも期待出来るね」
「イタリアだからか」
「うん、オリーブをこれだけ上手に使ってると」
「パスタはオリーブが欠かせないからな」
「それの使い方が上手だとね」
「期待出来るか」
「問題は茹で加減だけれど」
アルデンテかどうかだ、それもまた重要だというのだ。
「けれどね」
「これは期待出来るか」
「今度はパスタも注文したらいいと思うよ」
「そうしてみるな」
久志は源三のその言葉に頷いた、そうして彼自身ムニエルをまた一口切って口の中に入れた。それからまた白ワインを飲んだ。
そうしつつだ、カルパッチョも食べて久志はまた言った。
「刺身じゃねえけれどな」
「生魚を食べられてだね」
「いいな」
今度は剛に答えた、それも笑顔で。
「カルパッチョもな」
「君生魚好きみたいだね」
「好きも好きでな」
「大好きなんだ」
「フライも好きでムニエルだってな」
今先程食べ終えた鱈のそれもというのだ。
「好きだよ」
「つまりお魚全体がなんだ」
「それとパスタもな」
こちらもというのだ。
「好きだぜ、魚だとアヒージョもブイヤベースも好きだしな」
「何でも好きみたいだね」
「魚介類はな、貝も海老も蟹もな」
「烏賊も?」
「蛸もな」
それもとだ、鮭のカルパッチョを食べつつ剛に話した。
「好きだぜ」
「お肉もよく食べてたよね」
剛はこれまでの旅で久志のそのことも見ていた、それで言うのだった。
「そうだよね」
「ああ、それでもな」
「お魚もなんだ」
「大好きなんだよ」
「お魚とお肉どっちがより好きなの?」
「魚だな」
ほんの数秒考えてからだ、久志は剛に答えた。
「俺は」
「そうなんだ」
「時にカルパッチョにしてもそうだしな」
「お刺身だね」
「これが大好きなんだよ」
生魚、それがというのだ。
「海でも川でもな」
「川はね」
「ああ、危ないけれどな」
寄生虫の問題があるがというのだ。
「けれどこっちの世界だと氷の術で冷凍出来てな」
「それで中の虫も殺してるしね」
冷凍させてだ、彼等が起きている世界でも魚を冷凍させて寄生虫を殺すことは普通に行われている。保存と共に。
「それをしているからだね」
「こうして食ってるんだよ」
「そうなんだね」
「鮭だってな」
「まあ僕も好きだしね」
剛は笑って自分の話もした。
「お魚は。特に河豚ね」
「あれか」
「お鍋にして」
久志ににこりと笑って話した。
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