第五十一話 川旅その十
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「いざという時はな」
「水中ではか」
「これで戦う様にしているんだよ」
「水中じゃ弓矢は使えないからな」
「あの弓矢なら使えるけれどな」
それでもというのだ。
「やっぱり威力が多少落ちてな」
「それでか」
「これも持ってるんだよ」
「そうだったんだな」
「まあ実際使ったことはな」
「ない訳じゃないだろ」
「殆どないんだよ」
これがというのだった。
「実際な」
「そうなんだな」
「殆ど何だかんだでな」
水中戦でもというのだ。
「弓矢でこと足りてるからな」
「だからか」
「ああ、鮫でもな」
この島にいる淡水生の鮫だ、アオザメやヨシキリザメ、シュモクザメにイタチザメと種類も多い。ホオジロザメもいる。
「倒してきたぜ」
「鮫もかよ」
「倒したぜ」
「鮫倒せたら大丈夫だろ」
獰猛なあの魚をとだ、久志は言った。
「弓矢でもな」
「そうかもな、けれどな」
「用心でか」
「持ってるんだよ、短刀も」
「そうなんだな」
「いざって時に備えてな」
「そうした用心も必要か、俺もな」
久志はここで自分のことを思って言った。
「水の中でレーヴァティン使えるか」
「それが問題だな」
「大丈夫か?」
レーヴァティンの炎が水の中でも使えるのか、久志はこのことを真剣に危惧していた。火は水に弱いからだ。
「果たして」
「それだよね」
淳二も言ってきた。
「果たしてどうかね」
「火が消えたらな」
「意味ないからね」
「レーヴァティンがどうして強いか」
この世界を救う、そこまでの力があると何故言われるかというのだ。
「やっぱりそれはな」
「火だからだよね」
「それを出せるからだからな」
抜けば燃え盛る刃が出る、その炎があるからだ。
「だからだな」
「どうかだよね」
「水の中でな」
「本当にそこが問題だね」
「ではです」
ここで言ったのは順一だった。
「炎の温度を高めればいいでしょう」
「火のか」
「レーヴァティンは出す炎の温度も変えられますね」
「何も力を入れないと赤だけれどな」
その炎がというのだ。
「それがな」
「力を込めますと」
「青から色が変わってな」
「白い炎も出せましたね」
「ああ、それでか」
「白い炎ならです」
そこまで高温ならばというのだ。
「そうそうはです」
「水の中でも消えないか」
「はい、ですから」
「水の中で戦うならか」
「赤い炎ではなく」
実は低温のそれではというのだ。
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