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レーヴァティン
第五十一話 川旅その九

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「それがです」
「違うでござるな」
「我々の世界のナックラビーとこの世界のナックラビーは」
「この島には塩水はあるでござるが」
「海はありません」
 それはない、死海の様な潮の湖はあるが海はないのだ。
「ですから」
「この世界のナックラビーは」
「違いますね」
 自分達が起きている世界のものとはだ。
「また」
「言われてみれば」
「同じモンスターであっても」
 順一は考える顔でこうも言った。
「世界が違えば」
「生態が違うでござるな」
「そうした種類もいますね」
「恐ろしい存在は同じでも」
「違う部分もあります」
 それはあるとだ、一行はこのことに気付いたのだった。
 そしてだ、そうした話の中で久志は仲間達に酒を勧めつつそのうえでこんなことも言ったのだった。
「まあモンスターが出て来たらな」
「その時はだね」
 今度は源三が応えた。
「もうすぐにでも」
「ああ、甲板に出てな」
 そしてというのだ。
「戦おうな」
「そうしようね」
「そうしような、そしてな」
「そして?」
「ああ、必要なら川の中に飛び込んで」
 そうしてというのだ。
「水中戦もするか」
「そうなるかもね」
「その可能性はあるよな」
「敵は甲板に来るだけとは限らないよ」
 源三はこの事実を久志に話した。
「時として船を攻撃するから」
「そうしたモンスターもいるからな」
「だからね」
「川の中に入ってな」
「戦う場合もあるよ」
「船の底とか狙う奴にはな」
「そうしないと倒せないから」
 だからだというのだ。
「そうしたモンスターにはね」
「水中戦だな」
「それをやるしかないよ」
「そうだな、泳げてよかったよ」
「皆泳げるし」
 今ここにいる八人はとだ、源三は笑って話した。
「よかったよ」
「ああ、泳げないとな」
「それだけでね」
「戦いは不利になるな」
「満足に戦う為にはな」
 正も言ってきた。
「やっぱりな」
「泳ぐこともな」
「必要だぜ」 
 正も久志に話した。
「馬に水泳はな」
「どっちもだよな」
「必要なんだよ」
「満足に戦いたいなら」
「戦う場所は平地とは限らないんだよ」
 それこそというのだ。
「だからな」
「そうだよな」
「水の中で戦うこともあるんだよ」
 今彼等がいるそこでもというのだ。
「馬に乗って戦う場合もあればな」
「どっちもな」
「だから俺はこうしたものも持っている」
 ここで正は自分の服の懐から短刀を取り出した、ミスリル銀の眩い輝きを放っている見事な短刀である。
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