第三章
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「明日もね」
「ああ、三人でな」
「行きましょう」
こんな話をしつつ今は民家に向かった、その民家の前に来ると夜の闇の中に築何十年かわからないやけに古ぼけた家があった。
その家を見てだ、まずはますみが言った。
「お化け屋敷みたいだな」
「そうよね」
つづりがますみのその言葉に頷いた。
「ぱっと見たら」
「幽霊いてもおかしくないな」
「妖怪とかね」
「変態がいなくてもな」
「何かいそうね」
「そんなのいないわよ」
ちえりはそのあまりにも古く今にも崩れ落ちそうな家を見て眉を曇らせる二人に明るく笑って話した。
「幽霊とか妖怪とか」
「だといいけれどな」
だがますみはどっちかがいるのではとかなり真剣に考えていた。
「こんな古い家だとな」
「いそうっていうの」
「そんな感じだろ、この家」
「そうよね。もう今にもね」
つづりも言うのだった。
「何か中から出そうだし」
「その中に入るんだよな」
「ええ、今からね」
つづりにもますみにも答えたちえりだった。
「そうしよう」
「まあ何か出たらな」
「すぐに帰りましょう」
逃げようとだ、二人は言ってだった。そうして。
三人で民家の中に入った、玄関はボロボロで庭は草がどうしようもないまで生い茂っていて蛇や狸がいてもおかしくない感じだ。その庭を越えてだった。
家の中に入るとそこもだった、三人共懐から出した懐中電灯で中を照らすと。
和風の家の中もボロボロだった、あちこち壊れ穴も空いていて酷いものだった。ますみは床を照らして二人に言った。
「おい、気をつけろよ」
「穴あるのね」
「あちこち抜けてるからな」
だからだとちえりに話した。
「下手に先に進んだら穴に足入れてな」
「こけたりするから」
「それで怪我するからな」
だからだというのだ。
「注意しろよ」
「うん、壁も襖も酷いわね」
つづりはそちらを照らしていた。
「これ本当にどれだけ人が住んでなかったのか」
「というか人が住んでないと家ってこんなに傷むんだな」
「そうみたいね」
つづりはますみのその言葉に頷いた。
「人が住んでないとね」
「家って無茶苦茶傷むな」
「こんな風にね」
「そこそこいいお家だったみたいだけれど」
ちえりも中を照らしつつ言う。
「こんなに傷むとね」
「もう住めないぜ、これは」
ますみはちえりに話した、三人共慎重に前に進んでいる。
「とてもな」
「ええ、住もうって思ったら」
つづりが言うには。
「建て替えるしかないわ」
「一旦壊してな」
「お祓いもしてね」
「そこでお祓い言うの?大丈夫よ」
ちえりはつづりのその言葉には笑って返した。
「幽霊とか妖怪とか」
「いないっていうのね」
「いないわよ」
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