第二章
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「皆で行く?」
「本当に出るかどうか観る為に」
「私達にもなの」
「どうかっていうの」
「そう。どうかしら」
こう言うのだった、そしてだった。
友人達は陽菜のその誘いにまずはお互いに顔を見合わせた、そうして目で相談をして頷き合ってから陽菜に顔を戻して答えた。
「それじゃあね」
「念の為お守りとかお経持って行って」
「十字架とかもね」
「大蒜もいるかしら」
「大蒜は吸血鬼でしょ」
いささか幽霊とは違うのではないかという話も出たがそれでもだった、友人達は陽菜の誘いに残ることにした。
それでこの日のうちにだった、陽菜は友人達と共に深夜に大阪城の方に行った。全員大阪市内に住んでいるので自転車ですぐに集合してそこまで行くことが出来た。
そして自転車を置き場所に置いてからだ。大阪城の中の方に入ると。
夜の闇の中に堀と石垣が見えた、そしてその先にだった。
「天守閣も夜だとね」
「ちょっと見えにくいわね」
「どうもね」
「そうよね」
「ええ、ただね」
陽菜は友人達に話した。大阪城の方を観ながら。
「今回は大阪城の中には入らないわ」
「そこには出ないのね」
「あの辺りでも戦いがあったっていうけれど」
「あそこには出ないのね」
「そうなのね」
「そうみたいよ。出て来るのはね」
そこはというと。
「丁度この辺りらしいわよ」
「私達今お城の正門の前の方にいるけれど」
「ここになのね」
「その落ち武者の幽霊が出るの」
「そう言われてるの」
「そうみたいよ。それにね」
陽菜はここで自分の左手首を見た、そこに腕時計をかけているのでそれで時間をチェックしたのである。
そのうえでだ、友人達にこう言った。
「あと五分位でね」
「十二時ね」
「幽霊が出るっていう」
「その時間になるのね」
「ええ、あと少しよ」
こう友人達に話した。
「その時間になるわ」
「じゃあ隠れましょう」
「丁度木も多いしね」
桜の木だ、大阪城の堀の辺りは桜の木で飾られていて春になると大阪でも屈指の花見スポットになるのだ。
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