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蒼穹のカンヘル
十枚目
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目を開いた。

目の前には我が創造主の姿がある。

創造主は我に命じた。

これから創造する者達に祝福を与えよ、と。

祝福。創られたばかりの我だったが創造主の言う祝福という言葉を直ぐに理解出来た。

何故なら、それこそが我の生まれた意味であり存在意義なのだから。

創造主は我と同じ、輝く翼と光輪を持つが、我とは姿形が全く違う存在を創られた。

我は創造された者達に祝福を与え続けた。

気の遠くなるような、しかし一瞬のような、そんな長い時間、我は我に与えられた責務を果たそうとした。

創造主が創られた者達に祝福を与えると創造主は我を封じた。

鈍く光る銀の杖に、我の前に創造主に創られ、創造主と共に世界を創った偉大なる同族の一部と共に。

すまないセルピヌスこんな私を赦しておくれ、創造主は我を封じる間際にそう言った。

創造主よ、貴方は何も悔いることも赦しを請うこともないのです。

我は創造主が望むならば我は…










夢を見た、気の遠くなるような長い長い夢を。

夢の中で俺は龍だった。

銀の翼と輝く光輪を持った龍、『創造主』に『セルピヌス』と呼ばれていた。

シャラララン…

俺はカンヘルを召喚し、握りしめた。あの夢、否、記憶は…

「お前なのか?なぁ…お前はそこに居るのか?セルピヌス…」

シャラララン…

気付けばカンヘルに通されているリングの色が変わっていた。

赤と白と黒と黄色、セルピヌスの言う『偉大なる同族』達の、たった五体しかいない者達の内、四体を示す色。

すぅっ、と白銀の翼を展開する。

白銀、それはこの手に握る錫杖の、『創造主』によって創られた五体の内最後に創られた龍の翼、つまり…

「この中に居る、お前の翼」

俺はカンヘルを抱き締めた。

「うぅん……かがりぃ?」

「起きたか?ヴァーリ」

ヴァーリが家に来てから俺とヴァーリは同じ部屋で寝ている。

「羽なんか出してどうしたの?」

と聞かれた、まぁ当たり前だな。

「少し夢を見てな…長い長い、本当に気の遠くなるような夢を」

「夢?どんな?」

「この杖に封じられている龍の記憶さ。
この杖、多分だが天使が一柱封じられている」

セルピヌス、生前でも全く聞いたことのない天使しかもその姿形は龍のそれだ。

しかし輝く翼とエンジェルハイロゥを持つのなら天使なのだろう。

しかし『自分達を除く全ての天使に祝福を与えた』天使か…セラフィムやスローンズ、ケルビムよりも上の存在…

「龍なのに天使なの?」

「それは俺も思ったさ、でもこのツメをもった天使の翼と俺に宿る『聖』の力を見る限りそうとしか考えられん」

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