第8話 初めての魔人戦
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今まで槌と岩の山の中を直接掘り進めてきたのだろう。その息は荒く、狂暴さを際立たせていた。
その真っ赤な女が周囲をぎょろぎょろと忙しなく動き、窺う。
「違ぇ……、全然違ぇじゃねぇかぁ……。ここは、どこだ…… どこなんだぁぁぁぁぁ!! ぐああああ、イライラするぜぇぇぇ!! あ゛あ゛あ゛!!! イライラするぜぇぇぇぇぇ!!」
巨大な拳は岩をあっさりと砕き、地震を引き起こすかの様に地を揺らせた。
そして、その化け物の瞳にエールたちが映る。
「……何見てんだよ。…………ア?」
「ひっ!?」
長田君のみ悲鳴を上げているが、他のロッキーもエールも平常心ではいられない。先程のドラゴンが霞む程の強さを内包するであろう化け物が突然現れたのだから。それも、アームズが庇ってくれなければ、あの拳でどうなってしまっていたか判らないのだから。
「今テメェだ! そこのテメェだよ! テメェテメェテメェテメェだよ!! 今見てただろうが、テメェぇえぇええ! テメェ、誰の許しを得てこのオレを見てやがった!!!」
「きゃあああーーーー!!!」
長田君はエールの影でガタガタと震えている。
長田君が恐怖で怖がってくれているおかげで、エール自身が少し落ち着く事が出来たのかもしれない。母の教えを思い出し、敵の出方を見極めようと集中する事が出来た。圧倒的な実力差がある事は判るが、何もしなかったら死ぬだけだから。
「ちっ……、やはりお前か。私のモンスター検知器の数値がでかすぎると思ったが」
アームズは手に持った丸い機械の様なものを見てそう言っていた。
どうやら、壊れてしまった様だ。先程の一撃で砕いた岩盤の破片が突き刺さり、小さな煙を上げていたのが分かったから。
「ここまで近づかないと反応しないとは、少々欠陥品だった様だ」
アームズは、未練はない、と言わんばかりに相応のアイテムであろうその機会をぽんっ、と放り捨てた。そして改めてこの化け物を見る。
「……魔人DD」
「……そ、それってランス様の……」
「ああ、鬼畜王戦争で魔王ランスが生んだ魔人の生き残り。最後の一体だ」
悠長に説明する暇はないのだがな、とアームズはその後付け加える。
「ひぃぃぃー! そ、その通りだすよぉぉ!! ヤバイだす!!」
「きゃーー、殺されるぅぅう!!」
両手を上げて怯えるロッキーと長田君。
「エール。今動けるのはキミだけの様だ。……出方を伺え。アイツは力こそは凶悪だが、いつも怒っているからか、単調だ。……一撃も喰らうなよ」
「……はいっ」
エールも腰を落とし、素早く動ける様に備える。アームズはそれを見て少しだけ安心出来た。他の2人は兎も角、エールは法王クルック―とユーリ・ローランドの息子。戦う術は持
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