八枚目
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だが虐待されていたとはいえ目の前で父親が殺されたのはショックだったのだろう」
その声は憐れみに満ちていた。
「それが3日前の事だ。
そして一夜開けた日、ヴァーリは呑まれた、おびただしい数の怨霊に…」
その瞳は自らに対する叱責をたたえていた。
「ヴァーリは至ったのだ。
バランスブレイカーを経ず、ジャガーノートドライヴに…」
その声は戸惑いと不安を孕んでいた。
「何時もの俺であれば喜んだのだろう…
だが、だが!俺は見ていられなかった!
神器に呑まれ、その命を削られていくのを!
俺は何とか覇龍を止めた」
少しだけ安心感を滲ませた声だった。
「そしてあの堕天使に出会ったのだ」
そして僅かな喜び。
「後はお前の知る通りだ」
そうして白龍皇アルビオンの独白は終った。
「お前はずっとヴァーリを守って来たんだな」
「ああ」
「お前はきっといい父親になれるぜ」
「たわけ…」
そう言いつつも少し嬉しそうだった。
「篝、これからヴァーリの事を頼んでもいいか?」
「俺の出来る範囲でそうしよう。
しかしそれはアザゼルに頼むべきだ」
「いや、これはお前に言うべき事だ…」
「そうかい」
「では、また会おう」
その声と共に俺の意識は溶けていった。
「ふぁ〜あ」
今何時だ?………二時か、アザゼルが来たのが十時ごろだから…三時間半ぐらい寝てたか?
「ううん……」
ヴァーリは……まだ寝てるかな。
さて、ヴァーリを抱えて寝てるから動けないな…
もうひとねむ…
ガチャ…
「篝、起きてるか?」
と扉を開けてアザゼルが顔を覗かせた。
コクリと頷くとアザゼルはニヤけながら言った。
「抱き合って寝てるたぁ手が早いな」
俺は少しイラッとしたのでアザゼルに向けて氷の礫を飛ばした。
「のわっ!っぶねーなー」
「チッ」
当たらなかったか…
「舌打ちっておまえ…まぁ、いいか」
いいのかよ…
「おい!アザゼル何とか出来るか?」
「う、ううん?」
あ、ヤベェ…
俺はアザゼルを睨んだ。
「おいおい、睨むなよ…今のはおまっ!」
もう一回氷の礫を飛ばした。
「起きたか?ヴァーリ?」
「ううん…おはよぉ……篝」
か、可愛い!
「え、えーとちょっと退いてくれないかな…」
そう言いながら俺は翼を開いた。
「うん……わかった…」
ヴァーリはのそのそと俺の膝の上から退いた。
「篝、ヴァーリ、メシ食え。
もう二時だぞ」
とアザゼルがいうと…
「ひゃっ!?」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ