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高校生と金魚
第三章

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「だってデメキンも金魚でしょ」
「まあそれはね」
「デメキンも金魚だしね」
「そのことは事実だし」
「それでいいのね」
「ええ、いいわ」
 全く平気という返事だった。
「私はね」
「そうなのね」
「じゃあデメキンも飼ってくのね」
「これからは」
「そうしていくのね」
「勿論よ。けれどあれよね」
 ここで姉達にだ、恵里佳はこんなことも言った。
「何か水槽風情ないと思わない?」
「風情?」
「風情っていうと」
「だから水槽だけあって」
 見れば酸素を出すタンク以外は何もない、水槽自体も水も奇麗だが他には何もない感じであるのは確かだ。
「それで中に何もないでしょ」
「ああ、水草とか砂とか」
「そういうのがないのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「今度お小遣い出来たら買うわね」
「水草とかそうしたのを」
「買ってきて中に入れるの」
「そうするわね、さて何を買おうかしら」
 早速こちらの考えに至る恵里佳だった。
「一体ね」
「まあそこはね」
「ちょっと私達にも考えさせて」
「ペットショップに行って」
「それで三人でね」
 色々話をして考えて決めようとだ、姉も言ってきた。そしてだった。
 三人で笑顔でデメキンが加わった水槽とその中にいる金魚達を観て楽しんだ、金魚を楽しんでいるのは恵里佳だけではなかった。
 そしてペットショップで姉妹で話して買った水槽や砂や他の水槽の中を飾るものを入れた水槽の中で泳いでいる金魚達を観てだ、恵里佳はこう言った。
「いや、何か竜宮城みたいね」
「竜宮城は海でしょ」
「金魚は海の中では住めないわよ」
 姉達は笑って言う恵里佳にすぐに突っ込みを入れた。
「だったら竜宮城じゃないでしょ」
「それに浦島太郎も出ないし」
「そういえばそうね、けれどこれで余計にいい感じになったから」
 恵里佳は姉達の言葉に頷きながらも水槽の中を観続けてそのうえで二人に応えた。
「だからね」
「それでなの」
「これからも飼うのね」
「ええ、そうするわ」
 まさにとだ、こう言ってだった。 
 恵里佳は金魚達、勿論デメキンにも餌をあげた。そして餌を食べる彼等を観て余計に笑顔になるのだった。


高校生と金魚   完


                 2018・4・20
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