第三章
[8]前話
「このままビールはあまり飲まん方がええって言われたわ」
「痛風になるからですか」
「これまで飲み過ぎやったってな」
そのビールをというのだ。
「そう思うとリリーの心配通りや」
「はい、私もこの娘の心がわかったので」
「犬の心がか」
「私わかりますから」
犬のその心がとだ、有紗はおじさんに話した。
「ですから」
「そうか。お嬢ちゃん凄いな」
「凄くないですよ、とにかくです」
「ああ、リリーも心配してるしな」
「ビールの飲み過ぎには注意して下さいね」
「わかったわ」
おじさんは有紗に笑顔で頷いて答えた、有紗にとってはいいことだった。
有紗は犬の心がわかる、このことは家族もよく認識する様になって母は犬の散歩に行く彼女が今から散歩に行こうと犬にリードを付けた時に尋ねた。
「ワラビ今は何て思ってるの?」
「御飯欲しいって言ってるわ」
有紗は母にすぐに答えた、母は今も庭の鉢の手入れをしている。
「そう言ってるわ」
「そう、じゃあドッグフード用意しておくわね」
「おやつの煮干しも欲しいって言ってるわ」
「わかったわ。ただワラビ最近太ってきたからね」
このことは母が見てもわかることだった。
「煮干しは少し減らしてね」
「そうして出すの」
「そうするわ」
「今それ聞いてワラビがっかりしたわよ」
有紗は今も犬の気持ちがわかって母にそれを尋ねた。
「もっと食べたいって」
「そう言っても太ってきたからね」
「煮干しの量は減らすの」
「そうするわ」
「ワラビがっかりしたままだけれど」
「いいの、犬にもダイエットは必要だから」
あくまでこう言う母だった、有紗は母のその言葉を聞いたワラビの心がわかった。それはがっかりとしたままであった。
犬の心 完
2018・4・22
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