第二章
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「だからね」
「犬の知らせがわかるとなのね」
「本当に今の私みたいに助かるのかしら」
「そうみたいね」
母は有紗から受け取ったタオルで髪の毛を拭いた、窓の外はもう土砂降りになってしまっていた。先程の快晴が嘘の様に。
有紗にはこうしたことが度々あった、ワラビだけでなく会った犬の感情がわかるのだ。そんなある日のことだった。
有紗は下校中にふと擦れ違った白いポメラニアン、一人のおじさんが連れているその犬を見てすぐに連れているおじさんに言った。
「あの」
「何や?」
「はい、最近困ったことはないですか?」
「困ったこと?」
「何かこの子がご主人大丈夫かしらって思ってるんです」
「リリーが?」
おじさんはそのポメラニアンを見つつ有紗の言葉に応えた。
「そんなん思うてるんか」
「はい、今の生活で」
「生活でって。うちは家庭円満で奥さんも子供も平和やし」
おじさんは有紗に問われ考える顔になって述べた。
「それにや」
「それに?」
「わしも今日は休日やけど仕事も順調やしな。この前も接待が上手くいって何よりやったわ」
「そうですか」
「ああ、ほんまにな」
おじさんは笑って言うがここでだった。
おじさんがリリーと呼んだポメラニアンが有紗に顔を向けた、有紗は犬のその訴えかける顔特に目を見てだった。
すぐにだ、おじさんに言った。
「ビールお好きですよね」
「昔から好きで最近も接待でよお飲んでるわ」
「それみたいですよ」
「ビール飲んでても体重は普通やけどな」
見れば腹は出ていない、普通の体形と言うべきか。
「それでもかいな」
「ビールはそれだけじゃないですよね」
「痛風かいな」
「それじゃないですか?」
「そうか。この前健康診断あったしな」
「その結果見ればいいかと」
「わかった、それからや」
おじさんはこの時はこう答えただけだった、だが一週間後有紗の下校中に彼女と会うとすぐにこう言った。
「プリン体が多くてな」
「ビールの飲み過ぎで」
「このままいくと痛風になるって言われたわ」
「やっぱりそうですか」
「実はお嬢ちゃんに言われてからビールは控えてたけど」
そうしていたがというのだ。
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