暁 〜小説投稿サイト〜
奇麗な爪
第三章

[8]前話
「いい爪じゃない」
「何も問題なし」
「いい爪よ」
「それも十本共ね」
「そうなの。それじゃあ」
 友美は友人達のその言葉を受けて言った。
「この爪はこのままでいいのね」
「全然いいわよ」
「こんないい爪他にないから」
「だからね」
「そのまま短いままでいいわよ」
「友美ちゃんはね」
「そうね、それじゃあね」
 友美も友人達の言葉に励まされ確かな顔で頷いた、
「私このままでいくわね」
「ええ、それがいいわ」
「友美ちゃんも切りたくないっていうし」
「それならね」
「このままでいくといいわ」
「そうよね、あと切り方だけれど」
 友美はこれの話もした。
「皆どうして切ってるの?爪は」
「いや、それは爪切りでしょ」
「爪切りはその為のものだし」
「普通に爪切りで切ってるでしょ」
「違うの?」
「私足の指は爪切りで切ってるけれど」
 それでもと言う友美だった。
「手は削ってるの」
「爪切りにあるヤスリの部分で」
「そうしてるの」
「切るんじゃなくて削ってるの」
「そうしてるの」
「そうなの。ちょっと先が白くなると」 
 つまり伸びればというのだ。
「その時点でね」
「削ってなの」
「そうしてるの」
「いつも」
「手の指は」
「ええ。けれど皆切ってるのね」
 爪切りでとだ、友美は言った。
「そうしてるのね」
「ううん、それ自体がアートじゃ」
「爪をいつも削って短くしてるって」
「普通爪切りで切って終わりなのに」
「そこをそうしてるってね」
「手間がかかるのに」
「友美ちゃんそれ凄いわよ」
 友美に口々に言うのだった。
「それをしてるなんて」
「ちょっと伸びたら削るとか」
「何か友美ちゃんの爪の秘密見たわ」
「ヒビとか欠けてるところがないことが」
「本当にね」
「そうした努力の賜物ってことね」
「そうなるかしら」
「伸ばすんじゃなくて削る」
 それがというのだ。
「本当にね」
「それは滅多にね」
「出来ることじゃないから」
「そうかしら」
 友美本人はこう言った。
「私本当にね」
「ちょっと伸びてたなのね」
「削らずにはいられない」
「性分としてそうなの」
「だから別に凄いとは思わないわ」
 このことはというのだ、こう言ってだった。
 友美は自分の爪を見た、今見るとよく整い奇麗なものだった。それでこれからもこうした爪を維持しようと思ったのだった。


奇麗な爪   完


                 2018・4・22
[8]前話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ