第一章
[2]次話
ヤクザ映画を観て
西長堀美紀の趣味の一つに映画鑑賞がある、だが友人達は美紀が観る映画についてよくこう言っていた。
「やっぱり戦争映画とか?」
「美紀ちゃんマーシャルアーツやってるしね」
「マーシャルアーツってアメリカ軍のだし」
「それじゃあね」
「戦争映画好きなの」
「そうなの?」
こう言うのだった、そして他にはだった。
「あと格闘とかよね」
「アクションとか」
「マーシャルアーツやってるし」
「それじゃあ」
「いや、何でも観るわよ」
美紀は友人達に映画の話をされる度に笑ってこう返していた。
「映画はね」
「戦争映画やアクション映画だけでなく」
「他の映画もなの」
「どんな映画も観るの」
「そうなの」
「そうよ、面白いと思ったらね」
それならというのだ。
「どんな映画も観るわよ」
「じゃあ恋愛映画とかも」
「ファンタジーも観るの」
「時代劇とか特撮も」
「何でもなの」
「アニメだって観るし」
こちらの映画もというのだ。
「だからね」
「本当に面白いとなの」
「何でも観るの」
「そうなの」
「ええ、観るわ」
またこう答えた美紀だった、とにかくだ。
美紀は面白いと思った映画は何でも観た、それである日友人達に対してクラスでこんなことを呟いた。
「信義なき戦いって面白いかしら」
「それヤクザ映画じゃない」
「そっちの方じゃ滅茶苦茶有名な映画よ」
「ヤクザ屋さん達が裏切り裏切られ殺し合う」
「そんな映画よ」
友人達は美紀に眉を顰めさせて言い返した。
「まさかと思うけれど」
「美紀ちゃんあのシリーズ観るの」
「ヤクザ映画も」
「そうなの」
「何か面白いって聞いたし」
それでとだ、美紀は友人達に答えた。
「だからね」
「観るの?」
「ひょっとして」
「あのシリーズ」
「そうするの」
「そうしようかしら」
こう言ってだ、そのうえでだった。
美紀は友人達にだ、あらためてその映画について聞いていることを話した。
「舞台広島よね」
「そう、呉からはじまってね」
「舞台は終戦直後からね」
「広島市でも抗争があって」
「ヤクザ屋さん同士がね」
「物凄い殺し合うのよ」
「広島のことはよく知らないけれど」
美紀は生粋の大阪人だ、広島には何度か旅行で行ったことがあるけれど住んでまでしていたことはないのでこう言ったのだ。
「それでもね」
「興味持ったの」
「その映画のお話聞いて」
「それでなの」
「そう、出ている俳優さんだってね」
今度はこちらの話をした。
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