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蒼穹のカンヘル
五枚目
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その輝きは優しく暖かかった。

そして言い様のない慈愛を内包しているように思えた。

俺はその光を両手で包み込み、自分の胸に抱き込む。

光の暖かさが全身を包み込み、俺の体は光に溶けていった。















目を開けた、さっき光に包まれて…どうなったんだ?

目の前には杖があった、ただの杖ではなく銀色に輝く錫杖だ。

長さは1,5メートルほど。

持ち手の上には円状になったパーツがあり四つの銀色のリングが通されいる。

円の中には台座があり翡翠色のクリスタルが嵌め込まれていた。

一目見て思ったことは『美しい』。

語彙力の無い俺にはそうとしかいえない。

俺はその錫杖を手に取った。

その時俺はこの神器の名前を知った。

「カンヘル…これから、よろしくな」

これが…俺の神器…使い方は分からない。

でもこうやって持っていると落ち着く。

とても、暖かくて、安心する…

「篝、それがお前の神器なのか?」

あれ?父さん、お仕置きは終わったの?

「そう、この杖はカンヘル。
俺の神器だよ」

「良かったなー篝。神器出せて」

アザゼル…

「お前さん一時間近く立ったままだったんだぜ」

マジか

「嘘でしょ」

「本当さ、お前が立ったまま二十分位してバラキエルと朱璃さんが来てさらに四十分近くそのままだったぜ」

あ、でもかなり泳いだ感覚だったしな

「お前さんその杖をなんと言った?」

知ってるのかな?

「カンヘルだよ。
掴んだ瞬間に名前が分かったんだ」

既存の神器か新種の神器か…

「カンヘル…聞いたことねーな」

「新種の神器ってこと?」

「ああ、多分な。こんなにも濃い光の気配にそれと同等の龍の気配なんて見たこともねぇよ」

ふぅ〜ん、ま、いいか…

「じゃぁこの杖って龍が封印されてたりするの?
それとも龍から作り出したとか?」

「さぁな、調べてみないことにはなんとも言えん」

そっか、新種の神器だしまだあんまり分からないもんね。

ところで…

「姉さんは?」

「あっちで寝てるぞ。
大方慣れない光力を使って疲れたんだろう」

あ、母さんに膝枕されて寝てる。

せっかく神器出したのに寝てるとか…姉さんェ…

ところで俺もサハリエルに教えられた事をやったけど…

そこまで疲れてないぞ?なんでだ?

まぁいいか、それよりも…

「ねぇねぇ今なら翼出せるかな?」

聞きたかった事を聞いてみた。

「分からん、試しにやってみたらどうだ?
そうだなぁ…まぁ出るなら念じたら出るはずだ」

え?そんだけ?
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