第二話 英霊召喚
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キルを相殺したのだった。
割って入ったのは褐色の大男エギル。
エギルは俺に笑いかけると、
「あんたがPOT飲み終えるまで、俺たちが支える。ダメージディーラーにいつまでも壁やられちゃ、立場ないからな」
「……すまん、頼む」
俺は短く答えると回復ポーションを口に流し込む。
ふとアスナの方に目をやると、黒いコボルド王を何人かのプレイヤー達が囲んでいた。
どうやらアスナの方も彼らに助けられたらしい。
俺はアスナと視線を合わし、そのまま後方で回復に専念する。
プレイヤー達が戦場に復帰してから少しずつだが戦況が変わってきた。
壁の奴らがコボルド王の攻撃を受け、俺たちが奴らに攻撃を与える。
そんなヒットアンドアウェイを繰り返し徐々にだがHPを削っていった。
だがそんな簡単に倒せるほど奴らも甘くはない。
赤いコボルド王は壁の奴らを飛び越え、スピードに物を云わせて切りかかってくる。黒いコボルド王も壁の連中が受け止めているのにも関わらずそれをいとも簡単に吹き飛ばす。
幸い今のところディアベル以外の犠牲者は出ていない。
だがそれもいつまで続くか。
とその時だった。
「ぐああああああ!!」
悲痛な叫び声が俺の耳に届く。
声の出所に顔を向けるとそこには黒いコボルド王を相手取っていた壁のプレイヤーがいた。
彼はタルワールの威力を殺しきれずに吹き飛ばされて地面に叩きつけられたのだ。
すると、黒いコボルド王は大きな雄たけびを上げタルワールを振り上げ、そして壁達に叩きつける。
当然彼らはガードする。が、
「「「うわぁぁぁぁぁ!!」」」
彼らは全員その一撃で吹き飛ばされてた。
明らかにベータの時とは威力が段違いに上がっている。
まさか武器ごと吹き飛ばされるとは。
それを皮きりに再び混乱が起こる。
黒いコボルド王が武器を振り上げればガードできないと悟ったプレイヤー達が一斉に回避に回る。
だがその隙を赤いコボルド王が突き、カタナでプレイヤー達に襲いかかる。
マズイ、これはかなりマズイ状況だ。
せっかく息を吹き返したのにこれではまたプレイヤー達は逃げ惑いそして挙句の果てに全滅するだろう。
それだけは防がなければならなかった。
そのためにはあのタルワールの威力をどうにかするしかない。
でもどうすればいい?
受けようとすれば吹き飛ばされ、回避してもそこにカタナが襲いかかる。
正直この状況は立て直しようがない。
他のプレイヤー達にもその考えが頭をよぎったのだろう。
次々とその場から逃げ出し始めた。
ふと頭にディアベルの最後がよぎる。
まるでガラスの破片のように崩れていく体。
人間の死に方ではなかった。
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