暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜白猫と黒蝶の即興曲〜
交わらない点:Point before#5
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ーティーに参加した。

レンがそんな状態にある以上、マイという首輪から彼がこれ以上外れていくのは危険極まりない。つまるところGGOの一件は、マイが家に閉じこもり、彼女がトラブルに巻き込まれないとレンが判断し、ヒーローの特性に従って外部にトラブルを求めた結果起こったことなのだ。

救いたがり(メシアコンプレックス)のヒーローの欠点。

これが悪化していったら、そのうち救い出す対象を自分で作る最悪のマッチポンプになりかねない。絶対悪がいてこそ存在できる相対的な正義とは違い、ヒーローは庇護対象さえあれば存在できる概念なのだから。

しかし、それを改善するのは簡単だ。つまり、マイという庇護対象がその役割を取り戻せばいい。

SAOの頃と同じように、穏やかな平和に浸かりながらも常に騒がしくトラブルメーカーな《マイ》に戻ればいい。そうすれば彼は困り顔で苦笑しながらも、《マイ》を助けている、支えているという実感で満足して、無用な危険に首を突っ込むことはしなくなる。

救いたがりには、救われたがりがあるだけで完結するのだから。

それは、善悪で言えば悪かもしれない。彼の助けで確かに助かる誰かを、二人は切り捨てているようなものなのだから。

だがそれは同時に、レンが背負うようなものではない。世界に使役される奴隷(えいゆう)は、あの少年には荷が重すぎる。

お前がいないから死んだのだ、などというふざけた言葉を浴びせかけられるには、彼は繊細過ぎる。

「このパーティーを切っ掛けに、あなたは外出するようになる。それで、あなたの世話をする中で、レンの中のあの《呪い》は小康的な状態で安定化する。……信じて、いいんですね?」

「たぶん、としか言いようがないんだよ。GGOで《英雄》の側面が出始めたレンはもう未知数。マイ一人だけじゃなく、他に目が行く可能性がない訳じゃないかも」

互いの顔を見ずに、少女達は会話を止めない。

「けど、レンの中のその側面はまだ芽が出たばかり。想像できない全体よりも、もともと手元にあった《お手軽》に意識が向くって考えるほうが当たり前だと思うんだよ」

「それは――――そうですが」

自らをモノのように言う冷めた言い方にカグラは思わず言い淀む。

カグラは知っている。SAO時代、この真っ白な少女と一心同体のような巫女は知っている。

この少女はそもそも、こんなトラブルメーカーでお転婆な性質――――()()()()

マイの歴代保有者を狩ってきたカグラだから知っているが、相手によってマイの性質は変わるのだ。

ある時は全てを賭けれる母親のように。

ある時は全て投げ打てる友人のように。

ある時は全て許せられる恋人のように。

その真意を聞いたことは
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