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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜白猫と黒蝶の即興曲〜
交わらない点:Point before#5
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て、レンへの牽制だった。

マイが動けば、その分レンも動く。マイがトラブルに巻き込まれれば、レンもまたその渦中に躊躇なく飛び込む。

これは決して推測などではなく、世界樹まで至る一連の期間、ほぼ一緒にいたカグラがだした厳然たる事実だ。なにせマイが囚われているというだけであの少年は三か月もロクに現実に帰還せず、強引に狼騎士(フェンリル)隊を作り出し、挙句の果てに央都(アルン)の街を崩壊までせしめたのだ。これが無茶と言わずして何と言えよう。

だからマイはその無茶を少しでも止めようと、自分が静養するという選択肢を取り、そもそものトラブルに遭遇する確率そのものを減じようとした。

だがダメだった。

「レンは……我が剣の主はどこまでもヒーローでした。マイが静養している()()()()、レンは新たな火種をもってして勝手に点火した」

GGO。

マイを起点としない、まったく新しい負債をあの少年は勝手に背負い込んだ。庇護対象(マイ)が関わってもいない、本来ならば負うべきではない無茶と負担を独自に。

その理由に思惟を向け、少女は苦々しい思いで奥歯を噛んだ。

「なんで、レンはまだ囚われてるのかな。あの《呪い》に」

冥王の堕日(ハデス・ダウン)》の日にかけられた、ちっぽけな矢車草の末期の鎖。

透明な少年にヒーローという影を落とした元凶。

「しかも、それは悪化してしまっています。GGOで萌芽した《英雄》の気質。見知った個人を助けていたヒーローならばまだ引き戻せましたが、見も知らずの全を助けようとする狂人の可能性は無視できませんよ」

「……そうだね」

GGOでレンは、《災禍》と戦った。

だが、あれは本来、それまでのレンならばそもそも起こりえるはずのなかった激突だった。蘇った災禍は場所がGGOだけに、あの少年に関わる一切には関与しない可能性の方が高かった。レンの戦闘は本来ならば、ユウキを傷つけた死銃(デスガン)道化師(フェイバル)を倒すという方向性で終着するはずなのだ。

だが、実際に蘇った災禍を前に、あの少年は戦うと言った。

関与しない、見ず知らずのGGOの人々を指し、彼らのためにコレを放っておけない、と。

その思考がカグラにはこの上なく恐ろしい。

確かに恰好は良いだろう。善悪で言えばもちろん善だし、好悪で考えみても好感が持てる。コミックならば主人公だし、アニメだったらどう転んでも敵役にはなるまい。

だが現実問題、そんな十代の少年がいたら異常という単語しか出てこない。

全を軒並み平等に救うということは、親も友人も仲間も平等に全として一括りにするということ。それはもう、全から働かされる奴隷のようなものだろう。

だからこそ、マイは今回のパ
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