暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜白猫と黒蝶の即興曲〜
交わらない点:Point before#5
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ナリティそのものが曖昧になりがちになる」
「だから不安になっちゃうのも分かるかも」
マイはちこちこと指を振りながら、
「でもよく考えて。今あなたが取ろうとした二つの選択肢は、どっちも絶対辛いことになるんだよ。ぶつかったらヒビが入るかもしれないし、逃げたらすれ違うこともできなくなっちゃうかも」
「そんな……ッ。私は、そんなのイヤだ。私は彼といたい!彼と――――エイジと……!!」
「うん。だからマイは、あなたに第三の選択肢をあげる」
少女はにっこりと笑い、こう言った。
あっさりと。
本当に。
「それは――――」
「《あれ》で良かったのですか……?」
マイの言葉を受け、物言わずに立ち去った少女を目線で追いかけながらカグラは呟いた。
一方、マイは相変わらず空の皿を持ちながら、こちらの受け皿のほうにチラチラと目線を投げかけている。まだ諦めていなかったのか。
「いいんだよ。これは良いか悪いかの問題じゃないからね。あそこまで行くと、気に入るか気に入らないか――――要するに善悪じゃなくて好悪の問題かも。そしてそういうことは、他人の助言じゃなくて本人の気分しだいで決まるものなんだよ」
「そういうものですかね」
ふぅ、と溜め息のような重い呼気を吐き出しながら、巫女装束のインプは軽く肩をすくめた。
見た目と言動に騙されがちだが、カグラとて生み出されてから三年ばかり。人間の情動に関する部分はこと疎かった。
反対にマイは、人の魂とさえ言われているフラクトライトに直接アクセスできる権限を持つ。こと理屈抜きの無意識に近い本能や感情の面で彼女以上に詳しいのは、他ならない彼女の心に巣食う《魔女》くらいのものか。
「……それでは」
ローストビーフにフォークを突き刺し、口に運んだカグラは一拍の間を置いて改めて言った。
どこか、突き放すように。
「《これ》は、これで良かったんですか」
主語がない言葉。
二人だけで共有された、他者への理解を拒んでいる羅列。
だがそれでも、少女は真っ白な前髪の奥で理解したように目を細める。
「あなたは世界樹でレンが無茶をしてからというもの、
家
(
ホーム
)
で閉じ籠っていました。それはひとえに、これ以上彼が負担を負うような場面に行き当たらせないように」
世界樹でのあのグランド・クエスト以降、マイは基本的にレンの購入した空中島から出たことはない。無論まったくないという訳ではなく、買い物や他人の家に遊びに行く時などはちょくちょく同行してはいた。
だがその頻度はお世辞でも高くはなく、普段の彼女はもっぱら家の中で読書をしたり散歩をしたりとゆったり過ごしていたのだ。
そしてそれらは全
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