暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OS
〜白猫と黒蝶の即興曲〜
交わらない点:Point before#5
[1/7]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「レン、おかわり持ってきて欲しいかも!ジャンルは問わない!」

警察犬を放つブリーダーのように紅衣の少年を解き放った白髪の少女は、そのまま大振りの皿を器用に頭に乗っけたまま舌なめずりした。両手はそれぞれ異なる受け皿を持っており、キャパシティーは一杯だったのだ。

大道芸人みたいになっている幼女を見下ろし、頭上から溜め息が降ってくる。

そちらを見上げると、いつも通りの巫女装束を身に纏う女性が影武者のようにひっそりと立っていた。

「なぁに、カグラ。言いたいことがあるなら、はっきり言って欲しいんだよ?」

「まだ食うのかって別に言われなくてもニュアンスで感じ取ってくださいよ……」

頭痛がしたように額に手を当てる巫女装束の闇妖精(インプ)は、これみよがしに苦々しくそう言ったが、真っ白な少女のほうはどこ吹く風と受け流した。

しかしそんな少女に向かって、半ば無駄とは思いつつもクドクドとカグラは言う。

「だいたいですね、先日の迷子事件もそうでしたが、もう少しあなたは他の者に対する迷惑というものを自覚してから行動を――――」

「ひょいぱく」

「ちょッ!それ私のローストビーフですよ!!返せこの猛獣!!」

「ふふーん、そんな恰好してて肉なんか食べようとしてるからだもーん。大人しく精進料理でも食べてりゃいいのに、ぺっ」

小さな取り皿に乗っかっていたちんまり肉を取られて逆上する巫女に、べーっと大きく舌を突き出す幼女。なんというか、ケンカは同レベルでしか発生しえないという言葉のお手本のような風景だった。

「いや別に私は本職の巫女でもないし、そもそも仏教徒じゃないですよ」

「えーじゃあそれって……コスプレ?」

「こすぷッッ!?ま、まぁそういう言い方もできますか」

ぐらぐら揺れる頭の受け皿(Lサイズ)を取ってやりながら、長身のインプは言う。

「これは私の創造主であるカーディナルが作り出したものです。意味は分かりませんが、おそらくは役職的にではありませんか?」

かつて己を操り人形としていた神の紛い物であり父である仇敵に対して、まったく臆することもないカグラの様子を横目で見つつ、マイは残る両手に持った皿をフリスビーのように回しながら、

「ふーん、意外だね。とくに国色とかは気にしないタイプっぽいのに、手元に置くのは天使じゃなくて神道系なんだ」

「さぁ、そこは趣味としか」

能力と人格と性癖は往々にして別カテゴリというのと同じようなものだろう、と適当に思いながら、カグラはなおも手元を狙う小さな猛獣を視線で牽制する。

睡眠欲を始めとして、食欲も薄い純粋なデータ体である彼女からすれば、食事は必ずしも必要な行為でもないのだが、必要ではないということは、したくないというのとイコール
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ