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レーヴァティン
第五十一話 川旅その五

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「シーフとな」
「近いよね」
「それもかなりな」
「隠れて素早くでね」
「盗んだりもするしな」
「罠とかも外すし」
「そう思うとな」
 実際にだった。
「近いな」
「だから何でもね」
「余計な時間をかけないか」
「そうしているんだ、そしておいらはギャンブラーでもあるから」
 こちらは正式な職業としてはなっていない、自称である。
「今からね」
「あの連中からか」
「巻き上げて来るよ、じゃあね」
 こう言ってだ、淳二はそのならず者達の方に行ってだった、そのうえで彼等に明るい声で笑って声をかけた。
「いいかな」
「何だこのガキ」
「ガキも船旅してるってのか」
「そうなのか?」
「そうだよ、それでトランプしたくてね」
 笑って角を隠して言うのだった。
「一緒にしない?」
「いいのかよ」
「俺達賭けるんだがな」
「それもかなりな」
「それでもいいんだな」
「やるんだな」
「うん、まあ飲みながらね」
 ブランデーを出しつつだ、淳二はならず者達に笑って応えた。
「やろうか」
「へっ、酒で酔わせてか」
「それで俺達に勝とうってのか」
「甘いな、そりゃ」
「そうはいかないぜ」
「俺達だって強いからな」
「酒も賭けごともな」
 酒を観ても笑って言うならず者達だった、だが淳二はその彼等ににこにことしたままそれぞれのグラスにブランデーを入れてだった。
 そしてだ、彼等にさらに言った。
「まあ楽しんでいこうね」
「飲みながらか」
「それでか」
「やろうってんだな」
「うん、お酒も幾らでもあるし。それに」
 ここでだ、淳二はチーズやソーセージ、クラッカーといったものも出した。
「こういうのもあるし」
「おっ、美味そうだな」
「酒に合いそうだな」
「じゃあそれも食ってか」
「やろうってんだな」
「そうしような」
 こう話してだ、そしてだった。
 ならず者達は淳二の申し出を受けて彼とトランプをした、彼が差し出したブランデーと肴を口にしつつ。
 するとだ、酔いがだった。
 急に回りそれで判断力が急に鈍ったこともあってだった。
 淳二に一方的に負け続けた、それで言うのだった。
「ちょっとな」
「何かひでえな」
「俺達随分負けてるな」
「何だこりゃ」
「また負けたぜ」
「どういうことなんだよ」
「そんなに飲んでるか?」
 言いつつさらに飲む彼等だった、そのブランデーを。
「いや、そんなに飲んでないだろ」
「別にな」
「魚美味くてもな」
「それでもな」
「まあ飲んで飲んで」
 淳二は彼等にブランデーの瓶を次から次に出した、まるでワインのそれの様に。
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