12 裏荒野での惨劇
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」
日光は、ちらりと月読を見つめたが、強い口調で嵐に答えを求めた。が、嵐は月読への想いが強く答えることが出来ないでいた。
「よいのですよ、嵐」
月読は優しく嵐に微笑んで日光に顔を向けた。
「兄上、実は、女人堂の僧たちが数名行方不明になっているのです」
月読は、きりっとした目つきで日光に言った。
「な、なんだと!!そんな報告は受けておらぬぞ、月読」
日光は、月読を怒鳴りつけた。
「申し訳ありません」
月読の代わりに嵐が、誤った。
「職務怠慢だぞ、月読」
日光は、月読を睨み付けた。
「まぁまぁ、日光さんよ。月読の嬢ちゃんを叱る前に、まずは嵐の報告を聞こうじゃねぇか」
しょぼくれた嵐の様子をみかねた王仁丸が、救いの手を差し伸べた。
「そうだよ、日光様。今は内輪もめしている場合じゃないよ」
続いて、阿修羅が、言った。
「そ、そうだな。嵐、報告しろ」
日光は、一つ咳払いをして、嵐に求めた。
「はい」
嵐は、返事をすると同時に月読を見つめた。
月読は、その視線を受け止め、軽く頷いた。
「実は、女人堂の修行者が、数人行方不明になったことから、月詠様は、独自に調査を開始しておられたのです」
嵐はゆっくりとした口調で報告を始めた。
「私をはじめ、私の隊である五輪坊の風の軍団を動かし、隠密行動部隊の蓮花の今協力を得、月読様の命を受けて、動いていたのです」
孔雀一行は、嵐の報告を粛々と聞いていた。
「そして、判明したことが、前座主の薬師大医王様が、いまだ即身仏としていないこと。それと、医王様を再び座主にとする反日光様の一派が、再び黄幡星を復活させることでした」
誰もが予測していたことだったが、本当のことだったは、思いもよらず、皆が嵐の報告に固唾をのんだ。
「だけどよ、そんなことをして何の意味があるんだ?」
王仁丸が素直な疑問を投げかけた。
「そ、それは・・・・・・・」
王仁丸の問いに嵐は言葉に詰まった。
「それは、父の。いや、旧座主の歪んだ正義感からなのです」
月読は、顔を伏せて答えた。
「え?どういうことなのです?」
孔雀が、今度は月読に問いかけた。
「孔雀殿、前倶摩羅戦争は当事者であったあなた方も知っていますね?」
月読は、見えない目を孔雀に向けた。
倶摩羅戦争とは、前記したとおりなので、割愛する。が、月読は、孔雀にその旨を説明した。
「ですが、何故また、倶摩羅戦争を起こそうとしているのか、はっきりとわかりませんが」
孔雀は、腕を組み、合点がいかないといった風に言った。
「父は、また、黄幡星の子の大量虐殺をしようとしているのです」
月読は、目を大きく広げ、孔雀をはじめ全員を見つめた。
「な、なんだって!!」
「そんな馬鹿な!!」
各々は驚愕し、
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