終極 ──明日へ──
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はもう何もない。
欲して止まなかった心も人となることで手に入れた。彼の王としての責務は既に終わり、ロマニは完全に自由の身だ。彼はもう自身の人生を謳歌する時なのだ。
ウィスはこの人理修復の最後に立ちはだかる黒幕の打倒にはロマニが有している指輪が必要になってくると確信にも似た思いを抱いていた。
ロマニの所持するソロモン王の最後の指輪。
そして人理焼却の元凶であるソロモン王を名乗る何者かの存在。これは偶然でもなんでもなくロマニの持つ最後の指輪がこの事件の黒幕を打倒する鍵になるのだとウィスは推測していた。
どうやらその推測は間違ってはいなかったらしい。
本来ならばマシュとロマニの定められた死の運命を傍観者である自分では干渉することはできない。それがウィスがこの世界と交わした誓約の1つ。
だがそれは自身が生きていることを前提とした場合の世界との誓約だ。
マシュやロマニの定められた死の運命を覆すにはどうしても自身が介入する必要があった。
今此処で世界との誓約を破棄し、定められたマシュとロマンの死の運命を変える。
英霊達が所持する宝具が、彼らが生前に築き上げた伝説の象徴ないしは後世の人々の間の伝承を基盤に構成された奇跡ならばこのソロモン王の最後の指輪が有する宝具の能力は1つしかない。
ゲーティアの有する9つの指輪とウィスが有する10番目の指輪。これはあの時の再現だ。自身が幾度となく繰り返した英霊たちとの決別の刻にソロモンが天へと万能の指輪を返還したあの時と─
今此処にソロモン王が全能の指輪を己の死と共に天に返した「人間らしい英雄」の逸話を再現する宝具が発動する。
その宝具は彼の王がこれまで成し得た偉業、奇跡、魔術、その全てを手放すことによりゲーティアの不死性を失わせる自身の存在を代償とする自爆宝具。
この宝具の発動に伴う代償を全て己に置換する。今此処に世界との誓約を破棄することでウィスの生き様を体現した宝具が発動される。
ソロモンの10番目の指輪が浮遊し、空中でウィスのエネルギーに包まれ時計回りに回転する。ウィスの足元に青色のエネルギーが溢れ、循環し、周囲を幻想的に照らし出した。
─全ての出会いを此処に──。今こそ世界との誓約を破棄し、我が宝具を発動する─
「『誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの。』──」
本来ならば宝具の担い手であるロマニが負うべき代償と業を全て自分が引き受ける。
「──『戴冠の時きたれり、其は全てを始めるもの。』──」
次第にウィスの体の亀裂が全体に広がり、生命という命の灯びが消えていく。ウィスとい
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