終極 ──明日へ──
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流に耐えることができずに意識を静かに落とす。ウィスはそんなマシュの体を優しく支え、マスターである立香へと手渡した。
「これでマシュは人並みの人生を送れるはずです。」
「本当ですか、ウィスさん!?」
ウィスの言葉に立香は喜色の色を見せる。
「…立香、カルデアに帰還したらスカサハ達にすまないと伝えておいてください。」
「え?」
ウィスは驚きの声を上げる立香に背を向け、キャスパリーグと向き合った。
「キャスパリーグ。最後に貴方に頼みがあります。勿論強制ではありません。最後はキャスパリーグの好きにしてくれて構いません。」
「…フォウ。(…なんだい、ウィス。)」
キャスパリーグは自身の背に合わせる形で屈んだウィスの瞳を見つめ返す。
その様子は静かであり、どこかこれからウィスが述べることを悟っているかのようだ。
『─。』
静かに口を動かすウィス。
「……フォフォウ…フォウ。(…分かったよ、ウィス。ウィスは相変わらずだね。まさかここまでするとは僕も予想もつかなかったよ。)」
「それが私が生き続けている意味ですからね。その信念は今でも変わりません。」
「フォフォウ!(任せな、ウィス!)」
返ってくるは力強い肯定の意。
ウィスはキャスパリーグの応えに安心したように、優し気にキャスパリーグの頭を撫でる。
「ありがとうございます、キャスパリーグ。
──カルデアと立香達のことを頼みます。」
「ゲーティア、もう終わりにしましょう。この長きにも渡る戦いを、研鑚を、執念を、その全てを……。」
「…終わりにするだと!?笑わせる、……笑わせるなよ、ウィス!!それだけの力を持ちながら何もしなかったお前が、我々の大願を終わらせるだと!!?」
─ああ、そうだ。確かに自分はこれだけの力を持ちながら彼らのように何もしなかった─
ソロモン亡き後に彼ら、魔術式が生きていることに自分は気付いていた。
遥か未来にて彼らが引き起こすであろう災厄を予感しながらも自分は何もせず、ただ傍観していた。ならば此度の一連の騒動に終止符を打ち、全てを終わらせるのは自分が背負いし業だ。
覚悟を決めなければならない。
迷いを捨て、ここで全ての過去を清算する決意を。
「ゲーティア、貴方に最後の魔術を教えましょう。貴方が知り得なかったソロモン王の最後の宝具を、10番目の指輪を。」
幸いにもその指輪は今自分の手にある。
こうなることを想定してロマニからくすねておいたのだ。
ロマニの驚愕を禁じ得ない声が背後から聞こえる。
─ロマニ、お前は生きろ─
生前とは違い彼を縛るもの
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