終極 ──明日へ──
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マシュ・キリエライト。彼女は決意を宿した目で盾を構える。
『真名、開帳──私は災厄の席に立つ──』
『其は全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷──顕現せよ──』
『いまは遥か理想の城!!!』
眼前に顕現するは白亜の巨城。
円卓の騎士達が座する円卓を盾として用いた何人にも破ることのできない究極にして絶対の守り。マシュ・キリエライトの精神力に比例し、彼女の心が折れない限り決してその城壁は崩れない絶対の守りだ。
そして、人類史の重みを再現したゲーティアの光帯とマシュの白亜の巨城とが激突し─
──途端世界は爆ぜた。
「く…くぅっ!?あぁあああああ───!!!」
辺りに響き渡るはマシュの絶叫。
ゲーティアによる第三宝具の余波は周囲を破壊し、全てを焼却する。
周囲に吹き荒れる爆風。
莫大な魔力の本流は周囲の空間を破壊し、捻じ曲げ、燃やし尽くしていく。
マシュの守りが破られることはない。今なお健在だ。
だがこのままではマシュ本人はゲーティアの宝具の光帯の威力に耐えることができずにその肉体は跡形もなく消滅するのは間違いない。
そんなマシュから決して目をそらさず、見つめ続けるは最後のマスターである藤丸立香。
そこにあるのは絶対的な信頼。
ここでマシュが死ぬことになっても彼女の想いと決心を無駄にしないという意志の表れだ。
「─。」
この瞬間、ウィスは決意した。
この場の全員がカルデアへと無事帰還する未来を実現するために、己を犠牲とする決心を。
未来ある明日へと。
誰もが笑顔を浮かべる未来へと繋げるために。
今なおゲーティアの第三宝具の光帯による光線は続いている。
マシュは押し負けそうになる体を、足を踏ん張ることで必死に耐える。だがゲーティアの光帯による攻撃は徐々に威力を増し、今にも押し切られてしまいそうだ。
だが自分がマスターを守らなければ全てが終わってしまう。自分のためにこれまで尽くしてくれたマスターである立香に自分は何も返せていない。
このまま宝具を発動し続ければ自身は消滅するだろう。当然だ。あの光帯から繰り出される光帯は人類史の重み。デミサーヴァントとはいえ一介の人間である自分が耐えきれる道理など存在しない。
死ぬことが恐くないといえば嘘になる。だがそれ以上に大好きなマスターのために恩返しをしたいという想いが彼女を駆り立ていた。
─だがあと少しでもいい。短命の存在であったとしても、この人理修復の旅の後も大好きなマスターとカルデアの皆と何気ない日常を享受したかった─
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