終極 ──明日へ──
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命を賭してまでお前たちに見出した価値に興味を持った。」
「ウイスは正に我々が求めていた永遠なる命を有していた。終わりなき生命。それを捨ててまでお前たちを救ったのは何故だ?」
「最後にお前に聞きたいことがある。我々の大願を阻止してまで我らを倒したのは何故だ?」
「そんなの決まっている。──生きるためだ。」
「……成程、生きるためか。本当に愚かで、理解に苦しむ答えだ。だが……それでいいのかもしれんな。」
悲劇があるからこそ喜劇が意味のあるものになる、か─。
成程、今ならウイスの言っていたことも理解できるような気がする。悲劇は喜劇を語るうえで切っても切れない関係にある。
生前自分たちの主であるソロモン王が天に全能なる指輪を返還したのも人に全能は遠すぎることを理解したからなのか…。
「ふっ、今さら考えても詮無きことか。」
自分たちは人類史の、人間の負の部分しか見ていなかった。人類の可能性を認めなかったのだ。
「──行け、お前たちの勝利だ。」
「貴様は…?」
(やあ、こうやって面と向かって話し合うのは初めてだね。同類。)
「……成程、貴様は霊長の殺伐者か。それで消え去る運命にある私に何のようだ?」
(ウィスから伝言を預かっている。『─。』だそうだ。)
「ウィスが……。」
(この手を取るか、取らないのかはお前の自由だ。ウィスはお前がこの手を取ることを望んでいたけどね。)
「…人類史を崩壊させた私にその手を取る資格などない。」
(分かってないな、お前は。お前だってウィスが何を望んでいるのか理解しているんだろ?)
「……。」
(『生きて世界の美しさを知れ。』だってさ。あと『カルデアのロマンを頼む。』とも言っていたね。)
「─。」
(ロマンはお前たちの王であるソロモンが聖杯によって人となった人物だよ。)
─っ!
(さあ、もう一度言うよ。この手を取るかい?)
「私は……」
この日、一匹の『獣』は生まれて初めて人間らしい、利己的な選択をした。
──魔術王を名乗ったモノの計画、人理焼却式・ゲーティアによる逆光運河/創世光年の計画は失敗に終わった。人類の不完全性を克服するために人類史全ての膨大な熱量を魔力へと変換し、この惑星を死の概念が存在しない世界へと創造する大偉業。原初に至ることで死による消滅の悲劇を無くすことを求めた一匹の獣。誰よりも人類を愛していたがゆえに死という結果を許容できずに人類の可能性を認めなかったモノ──
──その企みは人類史を誰よりも傍
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