第二十四幕:のんびりさんの虹
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夏ちゃんから、アルバム用にコメントを貰う。その間、改めて七夏ちゃんの部屋を見ると本棚には結構な数の本が並んでいる。小説が多いみたいだが、七夏ちゃん、これ全部読んだのだろうか? 更に本棚を眺めていると−−−
七夏「はい☆ 柚樹さんっコメントです☆」
時崎「ありがとう、七夏ちゃん!」
七夏「柚樹さん。何か気になる本、ありますか?」
時崎「え!? あ、いや。凄い数の本だなと思って」
七夏「くすっ☆」
時崎「逆に、七夏ちゃんがお勧めの本ってある?」
七夏「お勧めの本・・・えっと・・・」
七夏ちゃんは、本棚から一冊の本を手に取り、俺に渡してくれた。
時崎「これは!」
七夏「はい☆」
時崎「七色の虹が掛かる街!?」
七夏「柚樹さん、こういうの好きそうですので☆」
七夏ちゃんから、虹をテーマにした本を渡されるなんて思ってもいなかったので、意外だった。その本の扉絵は、街に掛かる大きくて鮮やかな七色の虹がくっきりと描かれていた。はっきりと七色に色分けされた「誇張された虹」だ。俺は迷った。この絵本の虹、七夏ちゃんにはどのように見えているのだろうか?
時崎「ありがとう」
七夏「はい☆ 絵本ですから、すぐに読めて楽しめると思います☆」
時崎「そうなの?」
七夏「はい☆ ゆっくり読んでも、30分くらいで読み終わると思いますから、ここで読んでみますか?」
時崎「じゃ、借りるのもなんだから、お言葉に甘えさせてもらうよ」
七夏「はい☆」
七夏ちゃんと、一緒に本を読む。お互いに無言の状態が続くが、落ち着かない訳ではない。しばらくすると七夏ちゃんが動く。
時崎「七夏ちゃん!?」
七夏「柚樹さん。私、お飲み物を持ってきますね☆」
時崎「ありがとう」
絵本の続きを読む。仲良しのお友達と喧嘩してしまって会わない状態が続く・・・そんな時、突然その友達が引越しする事を聞いて、なんとかしなければ・・・と。
七夏「柚樹さん、どうぞです☆」
時崎「あ、ありがとう」
七夏「くすっ☆」
さらに絵本を読み進める。友達の家に急ぐ途中で大きな虹が現われて、気がつくとその友達も一緒に虹を眺めていた。「離れかけた二人を繋ぐかのように現われた大きな虹・・・虹を見ると幸せになれる。離れ離れになっても、二人を繋いでくれる」そんな内容だった。
時崎「・・・・・」
絵本を閉じた事に気付いた七夏ちゃんが、声を掛けてきた。
七夏「読み終わりました?」
時崎「ああ。七夏ちゃん、ありがとう!」
七夏「くすっ☆ 虹を見ると幸せになれるのですよね?」
時崎「え!? ああ・・・そ、そうだね・・・」
複雑な気分だ。七夏ちゃんが虹をどんな風に思っているのか、分からなくなってきた。
七夏「私も虹を見て幸せになれるといいな☆
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