第七話 タイムリミット
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が、男は。
「断る。俺には関係ない」
そう言って通信を切った。
なんでだ。何でなんだ?
なんで、なんで、なんで。
俺は、この街を……火星を救いたい。その為にバルバトスに乗ったんだ。
それなのに、なんでバルバトスは動かなくなった。なんで、いう事をきかなくなったんだ。
なんで、こうも思い通りにならない。なんで、なんで、なんで!
「────────クソッ!」
グレイズのコックピットを強制的に開かせ、俺は飛び降りる。
「おい!」
ジキールの声。
ジキールさん。ここまで連れてきてくれてありがとう。
そうしてなんとか地面に着地し歩き始める。
さっきの着地で、右足から変な音が聞こえたけど関係ない。
明らかに折れていても関係ない。
今は前だけ見て進め。歩き続けろ!
痛みなんて無視しろ。今は進むんだ!
「────逃げろ────!」
ジキールの叫び声。
その声と同時に俺の頭上からとんでもない大きさの物体が落下してきた。
目の前で繰り広げられているガンダムフレームとモビルアーマーの戦闘の余波で発生したのだろう。
なんて冷静に状況を把握しつつ回避行動を取るが……足が動かない。
遂に、俺の右足は限界を超えてしまったようだ。
かくんっと大きく体勢を崩し、崩れ落ちる俺の肉体。
駄目だ。これじゃ避けれない。
目前まで迫った落下物、俺はそれを眺める事しか出来なかった。
ここで、終わるのか?
こんな所で、終わるのか?
何も出来ないまま……誰も救えず、見捨ててきた。
助けたかった。助けられるなら皆、助けたかった。でも、全ての人を救うなんて俺には出来ない。だから、自分が本当に護りたいもの守るために俺はここまで来たんだ。
諦めたくない。
諦めたくなかった。
助けたかった。
救いたかった。
俺は無力だ。人の感情を理解できないクズ野郎だ。
でも、これは本心だ。
俺は、この街を────火星を。
────────クーデリアと母さんを護るんだ。
「だから、俺は────────」
諦めない。
だから来てくれ────バルバトス!
それは颯爽と現れた。
「────────────」
俺の想いに応えるように来てくれた。
「バルバトス……!」
その機体には誰も乗っていない。
動ける訳ない。パイロット無しで行動できる訳がない。でも、コイツは来てくれた。
バルバトスは降り注ぐ、落下物から俺を守るように覆い被さる。
そして閉ざされていたコックピットハッチは勝手に開いた。
「お前、恐いんじゃなかったのか?」
バルバトスは応えない。
「俺のワガママに付き合ってくれるのか?」
バル
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