第7話 魔人ホーネット
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……。
と心の中でつぶやくゾロ。
――今のお前だって十分同罪だからな!
と何処かで聴こえてきた気がするが、きっと気のせいだ、と一蹴した。
「だが、良いのか? 呑気な話を続けて。……ホーネットの気持ちも身の上も判った。理解できた。だが、現状が悪化する以上敵対する可能性が濃厚だ。私は目的をもって動いている。その延長上には間違いなく現在の魔王が存在する。………悲しくなるだけだぞ」
時折、自分に正直になるとは言えホーネットは魔人。魔人である以上、魔王の命令には絶対。他の魔人も好き勝手動く者もいるが、自分が率先して行わなければ更に崩れてしまう。示しがつかなくなってしまう。戦いが始まると……両立させることが難しくなるという事だ。
そしてホーネットは表情を落とした。笑顔が消え失せた。
「……判ってます」
悪い事を言っているのはゾロとて判っている。人らしい感情を得ているからよく判っているつもりだ。それでも、最後に悲しい想いをするのであれば、と。
全てが終わった先にどうなるのか……、そこまでは判らない。打ち明けたその時にホーネットがどうなっているのか、判らないから。
ホーネットはぎゅっと目を瞑り、そして開いた。正面からゾロを見て精一杯の笑顔をうかべて言う。
「今だけは……、忘れさせてください。お願いします」
それは判っている、と言う様にホーネットは口にした。
ずっと考えてきている。前回の戦争が終わってから今日まで、いや それ以上前…… あのLP時代最後の戦争以来からずっと考え続けているから。
魔王がいて、そして自分が魔人である以上――変わらないから。
ゾロは、そんなホーネットを見て 頭を下げるホーネットを見て。微笑んだ。
右手を伸ばし、その頭を撫でてあげた。サラサラと心地良い質の良い髪は触っているだけでこちら側の気分も良くなるというものだ。
「っ……」
「私は、かの男の代わりにはなれん。……が、ホーネットがそれでも良いというのなら、手を貸そう。……ホーネットには恩もあるからな」
とても優しい手だった。
そして ホーネットは彼の胸にそっと肩を寄せる。ゾロも頭に乗せた手を、今度はホーネットの肩に回して、抱き寄せた。
ホーネットは 彼の温もりを、感触を感じ…… そして改めて間違いないと強く思った。
そして、脳裏に思い返すのは あの時の悪夢の記憶。
あの時とは 今から約15年前……LP7年の戦争時の悪夢。
場所は――旧魔王城。
元々は魔物界を二分し争いをしていた頃ホーネットとその一派が居城にしていた巨大な城。持ち主
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