96部分:第十四話 騒がしい中学生その一
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第十四話 騒がしい中学生その一
騒がしい中学生
ゴールデンウィークの間は私のお父さんやお母さんもおぢばに帰ってきてくれました。今度は私のいる大教会の詰所で会いました。
「とりあえず元気そうだな」
「うん」
お父さんに答えます。お父さんは背が高いです。ついでに言えば顔は宮内洋さんにそっくりだって言われます。それってかなり個性的なような。
「東寮はきついでしょ」
「まあそれは」
お母さんの問いにはついつい苦笑いになります。
「きついっていえばきついし」
「お家に帰りたくなったりするでしょ」
「素直に言っていい?」
こうお母さんに言葉を返しました。
「ええ、いいわよ」
「正直に言わせてもらうとそうよ」
嘘はつけませんでした。けれどこれは皆そうです。
「何か。お家と全然違うし」
「詰所とも全然違うでしょ」
「ええ、全然」
これも本当のことです。部屋の雰囲気なんかは同じですけれど。天理教の建物は部屋の構造は和風で大体同じなんです。ですからお布団なんです。
「先輩と一緒だし」
「それは変わらないわね」
お母さんも天理高校出身なんです。しかも東寮にいたんでよく知ってるんです。
「決まりとかも厳しいわよね」
「その通りよ」
私ははっきりと答えました。
「お母さんの言った通りだったわ」
「先輩によって随分変わるけれどね」
「そうなの」
「千里の部屋の先輩はどんな人なの?」
「凄く優しい人だけれど」
勿論長池先輩です。この前も困っていたら助けて頂いたし。いつも穏やかですし本当に何から何まで助けて頂いています。
「しかも奇麗で」
「よかったじゃない」
それを言ったら素直に喜んでくれました。
「いい人でね」
「そうね。やっぱりそれだと」
「部屋の人が優しい人でよかったわ。お母さんそれが心配だったのよ」
「ふうん」
「お母さんの時は皆厳しかった記憶もあるけれどね」
お母さんの時はそうだったみたいです。お母さんが高校生の時って確か二十五年程前だったような。あれ、もっと後でしたっけ。
「おぢばもずっと寒かったし暑かったのよ」
「えっ!?」
今の言葉は何か意味がわかりませんでした。今よりずっと寒かったし暑かったって。一体どういうことなんでしょうか。
「それってどういうことなの?」
「だって。部屋に暖房も冷房もないし」
昔の方がそういう設備もないですね。そういうことみたいです。
「だからよ。寒くて震えていた時もあったわ」
「そんなに」
ここで何か先輩と後輩が肌寄せ合って、なんていうどっかの妖しい漫画みたいな話はないです。どういうわけかそういうの想像しちゃう人も多いみたいですけれど。
「そうだったわ。けれど今は違うみたいね」
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