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悲劇で終わりの物語ではない - 凍結 -
|聖杯探索《グランドオーダー》開幕
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な奇跡。

 それをウィスは事もなげに行ってみせたのだ。
 誰もが眼前の頂上の奇跡の具現に言葉が出てこない。

「…嘘、私生き返ったの…?」

 自身の体を見回し、本当に自分が生き返ったことを実感するマリー。

「ええ、本来ならば死者の蘇生には様々な誓約が存在するのですが、今回は無事マリーを生き返らせることができました。」

 安心したとばかりにウィスはふわりと微笑む。

「ファー、フォウ。フォフォウ。(はー、こりゃ凄ぇ。ウィスは死者の蘇生もできるのか。)」
「まあ、本来ならばこの力を遣うことはできないんですけどね。」

 周囲の目を気にすることなくキャスパリーグと普通に言葉を交わすウィス。

「…ですが事態はまだ完全に好転していません。マリーは確かに蘇生されましたが、流石の私もマリーにレイシフト適性だけは与えることができませんでした。」

 無論、マスター適性も。
 こればかりは如何せんものであった。

「え…、それじゃあ私カルデアに帰れないじゃない。」

 正に上げて落とす。
 実質的な生死の問題はウィスの手によって解決したが、これでは彼女は結局カルデアに戻ることもできずこの特異点と共に消滅してしまうことになるだろう。

 マリーは思わず顔面を蒼白にしてしまう。

「ですのでマリーにはこの杖の中に入ってもらいます。」

 今度は下げて上げるウィス。
 本当にマリーは感情の強弱が激しく、魔術師らしからぬ魔術師だ。

 だからこそウィスはマリーを助けようと思ったのであるが。
 無論、彼女を助ける理由はそれだけではない。

「…え、それってどういう意…!?」
「すみません、マリー。今は時間がありませんので失礼します。」

 マリーの返答を待つことなくウィスは強制的に彼女を杖の中に取り組む。
 
 途端、ウィス達の身から光の粒子が溢れ出し、レイシフトが始まった。

 そう、カルデアへの帰還すべき時間である。





 こうしてマリーを含めたこの場の全員が誰一人として欠けることなく冬木の特異点からカルデへと帰還した。

 だが突如として始まった彼らの旅はまだ序章に差し掛かったばかり。
 人類史は謎の黒幕により崩壊され、世界は徐々に滅びのレールの上を歩いている。

 これから始まるは"未来を取り戻す物語"である。
 最後のマスターである藤丸立香と彼のサーヴァントであるマシュ・キリエライトの2人が織り成す英雄譚だ。










聖杯探索(グランドオーダー)開幕─

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