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悲劇で終わりの物語ではない - 凍結 -
|聖杯探索《グランドオーダー》開幕
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 自分はウィスにお姫様抱っこの形で抱えられ、慈愛の満ちた眼で見つめられている。先程まで自身を引き寄せていた浮力は消え失せ、周囲にはマリー達を守護するがごとく魔力による青色の球状の結界が張られていた。

「えっ…。ア…アキト?」

 ウィスはいつもと変わらない優し気な表情でマリーを見ている。見ればウィスの身体からは何かの前触れか光の粒子が溢れ出していた。

「もう大丈夫ですよ、マリー。」

 安心させるようマリーの頭を撫でるウィス。

 マリーは自分が助かったのだと理解し、思わず人目を憚らずにウィスへと泣きながら抱き着いた。

「レフ、いや『レフ・ライノール・フラウロス』」

 ウィスは慈愛の満ちた眼から一転、射抜く様な鋭い視線を此度の一連の騒動を引き起こしたレフへと放つ。

「貴様っ!何故その名前を!?」 

 レフは驚きを隠せない。

 自身の正体をいとも簡単に看破された。
 ましてや此方の全ての確信を突く言葉を。

 明らかに目の前の男はカルデアにて自分が知っている波風晃人という男ではない。

 ならば何だ。
 一体誰なのだ。
 何者なのだ。
 こいつは。

 理解が追い付かない。

 眼前には無事救出したオルガマリーを地面へと降ろしているウィスの姿が。

 唖然としている此方に構うことなくウィスは言葉を続ける。

「理解できないという顏ですね?そんな貴方の問いに答えましょう。」


「…生前貴方達の王と誰よりも言葉を交わした私のことを本当に忘れてしまったのですか?」

 

 その言葉が合図であった。

 次の瞬間、ウィスから暴風が吹き荒れ、サーヴァントを優に超すエネルギーが放出される。

 膨大なまでのエネルギーがウィスから放たれ、溢れ出し、周囲へと波及した。

 ウィスの圧倒的なまでのエネルギーの本流が辺り一帯に吹き荒れ、瞬く間にそのこの場を支配する。

 立香達は皆一様に吹き飛ばされないように足を踏ん張ることしかできなかった。


 唖然。

 呆然。

 驚愕。

 この場の誰もがウィスから目を離せない。


 今なおウィスから放たれる途方もないエネルギーの流れが途絶えることはなく、止めどなく溢れ出している。

 瞬く間にウィスから放たれるエネルギーの本流は洞窟の天井を容易に貫き、空へと昇り、天を大きく裂いた。

 何というエネルギー。

 何という存在感。

 視認することができる程の膨大なまでのエネルギー量。



 見ればレフは眼前の光景を前に人知れず表情が凍り付き、冷や汗を流していた。

 まさか…。まさか、この男はっ!

 レフは動揺を隠すことができない。



 やがて
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