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悲劇で終わりの物語ではない - 凍結 -
|聖杯探索《グランドオーダー》開幕
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 最後のマスターである藤丸立香の手により人類史の歪みである7つの特異点は無事修復された。世界の崩壊は防がれたのだ。
 
 だが多くの犠牲があった。
 かけがえのない物を失った。
 
 多くの出会い以上の別れと悲劇があった。
 人理の崩壊に伴う影響は数多の時代と人々の間に決して浅くない傷跡を残したのだ。

 世界がその矛盾と影に潜む危険性に気付くことはない。
 世界は無事安寧を取り戻し、世界中の人々は何気ない日常を過ごしている。そう、世界は今やかけがえのない日々を享受しているのだ。

 人々がこの空白の1年の彼らの奮闘と頑張りにこれから先気付くことはないだろう。

 空白の1年、人理の崩壊に伴い世間に波及した多大なる影響は人々を大いに驚かせることになった。しかし初めこそ騒がれていたが今では誰一人として空白の1年を気にする者はいない。

 人は慣れる者。
 人々は徐々にこの奇怪な現象に対して追究することを止め、いつしか忘れ去っていったのである。

 世界が落ち着きを見せ始めた一方で、無事人理を修復したカルデア一行は健闘を讃え合い、事後処理に取り掛かっていた。

 現在カルデアの職員達は時計塔や各地への報告と事後処理をこなすべく日々を過ごしている。

 凍結されていた47人のマスターも無事回復の兆しを見せており、順風満帆な様子だ。

 だが彼らの顔に浮かぶは笑顔ではなく、悲壮な悲しみの表情。

 人理修復は無事為された。
 他ならぬ最後のマスターである藤丸立香の貢献と奮闘によって。

 だがそれ以上に手からこぼれ落ち、失ったものが多すぎた。
 こぼれ落ち、失った物は二度と帰ってこない
 故に互いの健闘を讃えることすれど、彼らの心に光は下りず、影が差しているのだ。

 そんな混沌とした現状と化したカルデア内の廊下を言葉を交わしながら共に歩くはDr.ロマニはゲーティアの2人。

 反対側からは仲良さげに此方へと歩み寄る立香とマシュの2人の姿も見える。

「…あ、立香君にマシュ。2人とも体調はどうだい?」

 会話を一旦止め、ロマニは立香とマシュの2人の安否を尋ねる。

「俺は元気だよ、ロマン。」

「私も体調に異常はありません、ドクター。」

 笑顔でロマニへと返事を返す2人。
 見ればマシュの肩にはキャスパリーグが乗っていた。



─定命の存在であったマシュは磨耗した魂の蘇生と運命力の譲渡を受けることで今では人並みの生を送ることができている─



「…彼女達の様子はどうだい?」

 ロマニはどこか躊躇いながらも本題を切り出す。

「自分の部屋に今なお閉じこもっています…。」

「呼びかけても皆部屋から出てこようとしないんだ…。」

 途端、
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