ペルソナ3
2022話
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再婚。
それは、離婚や死別といった理由で独身に戻った男女が、改めて別の――希に同じ人物と――結婚をする事だ。
ゆかりの父親は既に死んでいる以上、当然のようにゆかりの母親の梨沙子が再婚する相手というのは、現在梨沙子が付き合っている人物なのだろう。
「っ!?」
再婚をすると梨沙子が口にして、数秒。
その言葉を理解出来なかったらしいゆかりだったが、やがてそれを理解し……反射的に何かを言おうとするも、結局何も言えない。
ゆかりの目に浮かんでいるのは、怒りと悲しみの感情。
梨沙子はそんなゆかりをじっと見つめている。
……ただし、梨沙子の方も何も思っていない訳ではないのか、握られている手は白くなるまで力が入っており、微かに震えている。
梨沙子も、自分が再婚するという事を言えばゆかりにショックを与えるというのは分かっていたのだろう。
だが、それでも……どうしても、それを言わなければならないと判断し、こうしてわざわざ学園祭までやって来た訳だ。
梨沙子が抱いている思いは、一種のケジメに近いのだろう。
母親の再婚という事で、色々と思うところはあるのは間違いないだろうゆかりだったが、それでも教室から出ていくような真似をせず、じっと母親を見ているのは……それを感じ取っているからか。
理由はともあれ、ゆかりは母親から逃げるような真似はせず、向き合っていた。
母親と一緒にいる事が苦痛で、月光館学園にやって来た事を思えば、それは間違いなく成長なのだろう。
ともあれ、これから行われるのは親子の会話だ。
無関係……いや、ゆかりと付き合っている以上、俺も無関係ではないだろうが、ともかく今は俺が口を挟むのは色々と危険なのは間違いない。
「……それで、再婚するのってあの人?」
どうやら、ゆかりも梨沙子が付き合っている相手の事は知ってるらしい。
娘なんだし当然なのか? ああ、でも梨沙子との仲が険悪だったって事を考えると、ゆかりはやっぱりその再婚相手に嫌悪感を抱いているのか。
何だかんだと、父親が大好きなゆかりにとって、新しい父親という存在を受け入れるのは難しいだろうしな。
「ええ。そのつもりよ」
先程までの気の弱さ……いや、押しの弱さか? とにかく、それを感じさせない様子で、梨沙子はゆかりにそう言葉を返す。
それでも手の震えは隠しようがないんだが。
「……何で?」
「あの人を愛しているから」
「じゃあ、お父さんは? もうお父さんは愛してないの?」
「そうじゃないわ。……けど、あの人はもういないのよ」
「だからって、すぐに他の男に乗り換えるの?」
「っ!?」
パァンッ、と。
教室の中に梨沙子の手がゆかりの頬を叩いた音が響き渡った。
……そう、ゆかりが梨沙子を平
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