ペルソナ3
2022話
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に月光館学園までやって来て――娘が学園祭で活躍してるのを見たいというのも、嘘ではないんだろうが――それで話してみれば、当然のように再婚については反対されていた。
だが……何の脈絡もなく、ゆかりの意見が翻ったのだ。
それを見ていて、不思議に思うなという方が無理だった。
「……いいの?」
「何よ、反対して欲しいの?」
「そうじゃないけど……だって、あんなに反対してたじゃない。なのに、何で急に?」
「いいじゃない、別に。ただ、別に私が喜んで賛成した訳じゃないって事だけは覚えておいてね」
「……ありがとう」
驚きの表情から一点、嬉しそうな笑みを浮かべて梨沙子はゆかりに笑いかける。
花の開いたような笑顔っていうのは、多分こういうのを言うんだろうな。
もっとも、それを正直に言えば、ゆかりに責められそうな気がするから口には出さないが。
ともあれ、お互いに相手を理解したということもあってか、ある程度ギスギスとした雰囲気はなくなった。
勿論完全にという訳ではないのだが、それでも梨沙子が再婚と口に出した時に比べれば、間違いなく雰囲気はよくなってるだろう。
その後、二十分程親子で話をし……
「じゃあ、私はそろそろ失礼させて貰うわね。また……そう、また会いに来てもいいかしら」
「……好きにすれば。ただ、私も今は色々と忙しいから、相手が出来るかどうかは分からないけど」
そう告げたゆかりは、口調とは裏腹に少しだけ嬉しそうに笑みを浮かべていた。
忙しいというのが、実はゆかりの父親にして、梨沙子の夫が関係している……と、そう考えれば、その辺りの事情を言ってもいいような気がしないでもない。
いやまぁ、実際にそれを口にすれば、梨沙子も色々と面倒な事に巻き込まれかねないという思いがあるのは理解出来るが。
「その、アルマー君だったわよね。ゆかりは色々と意地っ張りだけど、性根は優しい娘なの。だから……よろしくお願いね」
立ち上がった梨沙子が教室を出る直前に、俺に向かってそう言ってくる。
ゆかりとの関係が改善したのが嬉しかったのか、その口元にはゆかりと同じような笑みが浮かんでいた。
「……いいのか?」
そんな母親を黙って見送っていたゆかりに声を掛けると、ゆかりは無言で俺の方に近寄ってくると体重を預けてくる。
何も言わないのは、ゆかりにとって母親との関係が簡単ではないという事を意味しているからだろう。
これ以上何かを言っても無意味になるだろうと判断して、俺は無言で体重を預けてきたゆかりの肩を抱く。
そのまま数分……やがて、ゆかりがそっと口を開く。
「お母さん、別にお父さんの事を忘れた訳じゃなかったんだ」
「そうらしいな」
「……前はお母さんと付き合ってる人と会った時、凄く嫌な感
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