ターン89 鉄砲水と、覚悟
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
にはそうなるだろうな。だが仮に私が急にマスターとの繋がりを断ちきったとしても、マスターの体が即座に灰になるわけではない。今のマスターの身体には私が供給し続けるものとは別に少しづつ備蓄されてきた私のエネルギーが溜まっていて、それを使うことで時間的余裕が生まれるからだ。ダークネス式の蘇生は私の行えるものとは厳密には異なるだろうが、おおむねそこは同じはずだ』
「……っていうことは、さ」
考えをまとめながら、ゆっくりと口にする。無論、目の前の差し迫った危機を忘れたわけではない。だけどこの点についてだけは、どうしても今のうちに考えをまとめておきたかった。
「勝負が付いたらどっちにせよダークネスは夢想を切り捨てて、そこからエネルギーを使い果たして消えちゃうまでの間、夢想は完全に自由になれるってこと?ねえチャクチャルさん、そこを狙い澄まして無理にでも新しくエネルギーを流し込むって……できる?」
『マスターが言いたいのは、要するに接ぎ木だな?根、つまりダークネスからの供給が止まって枯れるまでの間に私に命を繋ぎ直して、そのまま眷属にしろと?』
「お願い、チャクチャルさん」
頷いた。しょせん素人の浅知恵ではあるが、今までの話を聞く限りではどうにかなりそうな気もする。夢想が解き放たれたその瞬間に僕の命を維持し続けるこの地縛神の力を代わりのエネルギー源とすれば、夢想が消えることもなくなる……はずだ。推測に推測を重ねたか細い光でしかないが、それでも唯一の光明だ。
『……可能性が無いわけではないが、それでもだいぶ厳しいだろう。前例も無論、皆無だ。そもそも、ダークネスがあの女に取った蘇生が本当に私のそれと同じものか、その部分から既に推測でしかない』
ここで一度言葉を切る。再び発せられた言葉には、心底愉快そうな響きがこもっていた。
『だが、マスターがそう願うのなら、きっとできるのだろう』
「それじゃあ!」
『賭けてみるのも、そう悪くないだろう……次元を越えた異邦人に、そして地縛神たる私に。過去に2度も死の因果を超え、本来あるべき現世の理から逃れて現世に留まり続けたマスターの可能性にな。それに私自身、そんなマスターの果てなき欲望の行きつく先を見てみたくもなったからな』
「ありが……」
『ただし。そもそもマスターに勝ってもらわなければ、この話は全部白紙に戻るからな。それも、マスター自身がそのとどめを刺すんだ。マスター自身の手で勝敗を付けることによりマスターとあの女の間に簡易的な繋がりを作り、それを頼りに私が……まあ要するに極端な話、デッキレスなどで決着をつけられると私には手が出せないからな』
感謝の言葉を遮り、間髪入れずに釘を刺すチャクチャルさん。とはいえ夢想の【ワイト】も、僕の壊獣やグレイドルといった面々も、そんな搦め手とは縁が
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ