親子
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睨み合っているゼレフとメイビス。静寂な時が流れていたその空気を破ったのは、呪われた青年の方だった。
「君とこうして会うのは100年ぶりくらいかな」
「95年ぶりです」
「僕は君の声も存在もずっと感じていたよ」
「・・・」
感傷的なゼレフに対し、メイビスは頭の中にある考えを纏めるのに必死だった。
(私にはゼレフを倒すための最後の策がある。一つ目の条件は私の体・・・本体が必要なこと。
そしてもう一つの条件が・・・理屈はわかっているのに・・・難しい)
何かをしようとはしているがそれができずにいるメイビス。すると、突然ギルドの気温が下がり始め、彼女の体が凍り始める。
「体が・・・ああ・・・」
「やめるんだ、インベル」
ゼレフはその行動を起こしている人物が誰なのかすぐにわかった。ギルド内にはいつの間にかもう一人、銀髪の青年が入ってきていた。
「陛下・・・その娘との関係はお察ししますが、彼女は妖精の心臓そのもの。もし・・・その魔力を使われたら」
優勢であるはずの戦いが一気に負け戦へとなってしまう。それを危惧したインベルはそのような行動に出たのだが、ゼレフはそれをよしとしない。
「妖精の心臓が使ってはいけない魔法だということはメイビスが一番よくわかっている。たとえ僕を殺すためでも使うことはないよ」
「しかし・・・」
「メイビスは長い間・・・身動きのできない水晶の中にいたんだ。また体の自由を奪うなんて心が痛むよ」
「・・・」
自らの皇帝の甘さに厳しい顔つきのインベル。だが彼はゼレフのことを深く尊敬しているためか、彼に名前を呼ばれるとメイビスの体を元へと戻す。
息が大きく乱れているメイビス。落ち着きを取り戻そうと必死の彼女に、氷の首輪がかせられた。
「これは・・・」
「体は拘束しませんが心を拘束させていただきます」
インベルの魔法により持ち前の思考力が著しく低下し、フラフラとしているメイビス。それを見たゼレフはインベルの顔を見つめている。
「仕方ないな。君は本当に心配性だね」
「国の執政官として当然の判断です」
これによりメイビスは自らの意志で魔法を使うことはできない。メイビスはただグルグルと回っている自らの思考に目を回しているだけだ。
「メイビス、ついてきてくれるかい?」
ゼレフにそう言われると、体が勝手に彼の後についていってしまう。二人はギルドから出るとそこに広がっているのは、巨大な岩山にある妖精の尻尾のギルドと、それを守るべく四方八方を塞いでいるアルバレスの軍隊の姿だった。
「君の仲間たちはギルドと君を取り戻すためにここに向かってくる。果たして突破できるだろうか」
|妖精の尻尾
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