9部分:第三話 高校生と大学生その一
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
の柔道部を指導している人なんです。
「で、投げ飛ばされたの?」
「いや、怒鳴られただけ」
「何だ」
それを聞いてかなりがっかりです。プールにでも投げ込まれて頭を冷やせばいいのに。
「それだけだったの」
「何を馬鹿なことやってるかってさ。心狭いよね」
「それは阿波野君が悪いわよ」
井本さんの奥さんが笑って新一君に言います。
「そうですかね」
「だって。堂々と制服で大学生の娘に声をかけてたんでしょ?」
「っていうか探してたんですよ」
「誰をよ」
今度は私が尋ねました。
「いや、先輩を」
「私を?何で?」
「いや、学校の勉強を教えてもらいに」
「嘘でしょ、それ」
またやぶ睨みになって彼を見ます。
「絶対に」
「まあ嘘だけれどね」
やっぱり。本当にこんなのばっかりで。
「うそとついしょこれ嫌いよ」
ここで彼に天理教の教えを言ってやりました。
「そんなことしているとまたほこりが積もるわよ」
「ほこりかあ」
「そう、ほこりよ」
天理教では悪いことを八つのほこりと言います。をしい、欲しい、にくい、かわい、よく、こうまん、うらみ、はらだちの八つです。特にこうまんやはらだちがよくないとされています。
「そういうことばっかりしていると大変なことになるわよ」
「そうかあ。じゃあ止めるか」
「ついでに大学に来て変なことするのも止めなさい」
そう彼に言ってやりました。
「いいわね」
「本当に俺って無茶苦茶言われるなあ」
「当たり前よ」
何を言うかって思ったら。
「やること為すことちゃらんぽらんなのに」
「そうかな」
本当に自覚がないんですよね、彼は。だから言うんです。
「俺これで結構真面目なんだぜ」
「寝言は起きて言うものじゃないわよ」
また言ってやりました。
「それを覚えておきなさい」
「先輩は厳しいなあ」
「新一君だけは別よ」
実際にそうしています。私実は後輩には凄く優しい先輩だって言われてきました。けれど彼にだけは本当に別なんです。あんまりですから。
「わかったわね」
「わかりたくないなあ」
「その反論なのよ」
わかっててやってるんでしょうか。
「そんなのだから駄目なのよ」
「じゃあ真面目にやればいいんだよね」
「ええ」
あれっ、私の言葉が届いたんでしょうか。内心びっくりです。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ