ペルソナ3
2021話
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や、実際にその要素が全くない訳じゃない。
だが……それでもゆかりの言葉の中に、どこか嬉しさがあるように思えるのは、きっと俺の気のせいだけじゃない、と思いたい。
ゆかりの母親もそれを感じたのか、それとも単純に言葉に詰まったのか、こちらも何かを口にしようとしても、何か言う様子がない。
しょうがない、か。
「ゆかり、取りあえずこのままだと色々と周囲に迷惑になる。教室の方に行かないか?」
2-Fはクラスの模擬店として鉄板焼きの屋台をやっているが、当然のように屋台は外で行われている。
そうなるとクラスでは特に何かに使う事もないので、一応休憩所という扱いで解放されているのだ。
他にも幾つかの教室が同じように休憩室として解放されているのだが、ゆかりが母親と話をするのであれば、やはり教室で話をした方がいいだろう。
……周囲の目も若干気になるし。
まぁ、分からないではない。
ゆかりと俺が一緒にいて、そのゆかりの母親――外見では姉と見間違えてもおかしくない――がいるのだ。
そんな2人が、見るからに緊張感を持って対峙しているとなれば、当然のように目立つ。
学園祭の最中であっても……いや、だからこそか? ともあれ、周囲の視線が俺達には向けられていた。
興味深い視線、嫉妬の視線、嘲笑の視線……様々な視線が向けられているが、何故か俺にもその視線は向けられていた。
特に、嫉妬の視線が多い。
いやまぁ、ゆかりは間違いなく美人だし、その母親もタイプこそ違えど美人なのは間違いない。
一見すれば、そんな姉妹のようにすら見える2人が、1人の男――当然俺――を取り合っているように、見えない事もない。
そう考えれば、嫉妬の視線を向けられてもおかしくはない。
そんな俺の思いに気が付いたのか、それとも周囲の視線に気が付いたのか……ともあれ、ゆかりは俺の言葉に頷く。
「分かった。そっちの方がいいわね。……母さん、こっちに来て」
以前までの、それこそ俺と出会った当初のゆかりであれば、母親が現れれば即座に拒絶し、話し合おうという事はなかっただろう。
色々と複雑な感情を抱いているようではあるが、それでもこうして会話をするつもりになったということは、ゆかりが以前に比べると母親に対しての嫌悪感が減ったという事なのか。
実際、ゆかりは普通の高校生では経験出来ないようなことを何度となく経験してきているし……何より、他に恋人が10人以上いるというのを分かっていながら、俺と付き合うという事を承知してきた。
男女の関係として最後までは進んではいないが、いわゆる、ABCのBまでは進んでいるし。
そう考えれば、男に溺れて、頼って……という生き方をしているらしい自分の母親に、何か言おうとしても、言うに言えないというのが正しいの
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