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おぢばにおかえり
86部分:第十二話 制服その十二
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第十二話 制服その十二

「高校卒業したら一旦実家に帰ろうかなっても考えているし」
「実家になのね」
「ええ、とりあえずはね」
 そう言うのでした。
「そう考えているのよ」
「実家に帰って何するの?」
「多分よ」
 ここで彼女は言うのです。
「私も多分教会の人と結婚するし」
「それはわからないじゃない」
 私はそれはどうかな、と言いました。
「これからのことなんてね」
「それはそうだけれどね」
 彼女はこう答えながらもまた言うのでした。
「それでも。周りはそういうのばかりだし」
「確かに多いけれどね」
「だからよ。本当にそうなってもおかしくないし」
 彼女はそれを予想しているのでした。
「だから一応は考えておいているのよ」
「私も。どうなるかしら」
「どっかで年下の子でもゲットしたら?」
「どうしてそうなるのよ」
 何かいつもいつも私は年下の子が話に出ます。本当に困ります。
「私はやっぱり年上の人がいいのに」
「だってちっちってお姉さん気質だから」
 それを言われると何となくわかります。私が長女だからです。それはいつも頭にあります。それでも妹達にお姉さんぶった記憶はないんですけれど。
「だから皆言うのよ」
「お姉さんねえ」
「弟さんいなかったわよね」
「ええ」 
 それを彼女にも答えます。
「妹が二人よ」
「じゃあ弟さん一人持てばいいのよ」
「弟って」
 あまり面白くない話です。
「私はそんなのは別に」
「いいじゃない、今更一人位」
「一人位ってね」
 余計に話が私にとって面白くなくなりました。本当に冗談じゃありません。
「私はそんなの全然欲しくないんだけれど」
「彼氏でも?」
「だから私は」
 また彼女に言い返しました。
「結婚する人としか駄目だしそれに」
「ちっちには年上の人は似合わないわよ」
 そういう設定に皆からされています。皆からです。
「何度も言うけれど」
「何度言われても無駄よ」
 私はむっとした顔でまたまた言い返しました。
「そんなことは」
「そうだけれどね。それでも」
「何よ」
「彼氏は欲しいわよね」
「ええ、まあ」
 それはまあ。否定できないです。
「見つけたらいいのよ。何か色々と幸せになれるらしいわよ」
「見つけようと努力はしているわ」
 何かと制約の多い学園生活ですけれどそれでも一応は。けれど向こうからも誰も声がかからないですし。
「けれどね」
「努力しなさいって」
「わかったわよ。勉強と一緒にね」
「またそれが出るのね」
 そんなこんなのゴールデンウィーク前のやり取りでした。何かお休み前でもどうにも。気持ちはあまりいつもと変わりはしないのでした。


第十二話   完


         
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