暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
ペルソナ3
2020話
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も、中流家庭と言われるべき者達はアワビなんて食べる機会は早々ない筈だ。
 また、何らかの理由でアワビを手に入れたとしても、食べるのは大抵が刺身だろう。
 アワビのあのコリコリとした食感は、まちがいなく美味いと言い切れる代物だし、それは分かる。
 だからこそ、こうしてアワビに熱を通すといった行為は、信じられないといった風に見える者も多いんだろう。
 もっとも、このアワビの地獄焼きは焼き上がるまでに何だかんだと時間が掛かる。
 10分……アワビの大きさによっては、それ以上に時間が掛かる可能性があった。
 もっとも、アワビが踊っている光景を見たり、それを見ながらすぐに食べられる別の料理を注文したりといった風にしていれば、10分なんて時間はすぐにすぎてしまうのだが。
 ともあれ、そんな間にも客はどんどんとやって来て、俺ともう何人かで必死に鉄板焼きの材料を焼いていく。
 いや、まさかこんなに客が集まるとは思っていなかった。
 まぁ……あの台風の影響で学園祭が行われないという風に考えて、色々と中途半端なクラスがあったのも、影響しているだろう。
 特に俺達のように屋台をやるとなると、当然その屋台をやる場所は外になる訳で、台風なんかが存在するとなれば、思い切りそれが影響してくる。
 そうである以上、台風が来たという時点でやる気がなくなった者が多くなっても、それはしょうがない。
 ……実際、俺達のクラスだってやる気がなくなっていた者はそれなりにいた。
 それでも最終的にきちんと屋台が完成して準備万端に出来たのは……男にはゆかりが、女には有里がそれぞれやる気を出すようにして励ましていった、というのが大きい。
 結果として、何だかんだと俺達のクラスが1人勝ちしているような状況な訳だ。
 特に俺達のライバルと言われていた3年B組のお好み焼きの屋台は、今朝になってから慌てて材料を用意する為に走り回っている状況で、具材が色々と足りなくて何枚かお好み焼きを作ってもすぐに売れて材料切れになるらしい。
 ご愁傷様、としか言えないな。
 まぁ……と、少し周囲の様子を眺めつつ、視線を空に向ける。
 そこに広がっているのは、まさに秋晴れと呼ぶに相応しい青空だ。
 うん、俺が台風を消滅させた甲斐があったというものだな。

「アクセル、焼きそば2人前頼む!」

 いつの間に売り子に代わったのか、順平がそう言ってくる。
 嬉しそうな様子なのは、やっぱりこうして無事に学園祭を楽しむ事が出来ているからだろう。
 学園祭に参加出来なかったかもしれないのに、こうして参加出来ているのだ。
 誘拐云々の件も含めて、順平の性格を考えれば、これで喜ばない筈がない。
 ……もっとも、順平が熱を上げているチドリは、まだ病院で色々と検査やら何やらをしているらしいが。
 
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