猫娘と雄英体育祭編
NO.025 フォウという猫の恩返し
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としている時だった。
「…………緑谷。一つ訂正を入れていいかい?」
「はい? どこを訂正ですか……?」
「私はあの時に緑谷を治療したものだよ」
「ええ!?」
出久は知らなかったために盛大に大声を上げていた。
まさか命の恩人がリカバリーガールだったなんてという思いだった。
「私はね、あの時必死にお前を助けようと努力はしたよ。でも、緑谷の傷はもう私の個性じゃ治せない程にズタズタだった。個性を使って回復させようにもその体力が緑谷にはほぼ残されていなかったからもうどうしようもなかった……。
お前の母親には申し訳ないけど『今夜が峠だよ』と言ってしまったほどだからね……」
リカバリーガールはそれですまなそうに俯く。
「でも! それじゃどうして僕は今もこうして元気でいられるんですか!? 後遺症が残っていてもおかしくはないのに……」
「まだ続きがあるけどいいかい?」
「あ、はい……」
そう言って出久は椅子に座り直した。
リカバリーガールは過去を思い出すかのように空を見上げながら話す。
「ホントはね……緑谷が助けた猫はほとんど傷もなく健康体だったんだよ」
「えっ……」
「だけど緑谷がもう死ぬ寸前かのように息絶えだえだった病室を一回私は見に行ったんだよ。そこで不思議な光景を目にした」
リカバリーガールは話す。
出久の身体の上で猫は涙を流しながらもしばらくして自身の身体からまるで魂が抜けだすかのように白いオーラが出てきて出久の身体にスゥーッと入っていったのだと。
すると奇跡でも起きたのか包帯があちこちに巻かれて痛々しい姿だった出久の身体の傷がどんどんと塞がっていったのだ。
2、3分もしないうちに出久の身体は治って呼吸も正常に戻っていた。
リカバリーガールは慌てて出久の傍らにいる猫を抱きかかえてみたが、もうすでに猫の身体は死んでしまったために冷えてしまっていた……。
『お前さんは……いったい』
猫に問いかけるがもう答えるものなどいないという事実にリカバリーガールは静かに涙を流した。
その猫の遺体はその後に厳重に火葬をして埋葬したと話す。
「それが緑谷が健康体でいる正体だよ。その猫の個性だったのかもしれないけど今ではもう確かめようがないね。でも、今こうして緑谷は個性が出てそんな姿になった。だからもしかしたらその猫は今も緑谷の中で生きているのかもしれないね」
「なるほど……それで緑谷少年は緑谷ガールになったのですね。その猫の正体がまだわかりませんが、おそらく何かしらの特別な個性を身に宿していたために緑谷ガールに持っていた個性を譲り渡していたと……まるで私と同じ、だな……」
そう考察するオールマイト。
だがその話している内容は出久にはほとんど聞こえていなかった。
ただただ自分のため
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