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SAO−銀ノ月−
「『あるばいと』として当然です」
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撃させ、そのHPバーを削りきったところだった。

「打ち取ったぞ!」

 沈黙する呪いの大樹を前にして、共に戦ったエルフたちから歓声があがる。ただし、呪いの大樹はポリゴン片と化すことなく、地面に膝をついて倒れ伏した。何かの演出かと一瞬だけ思ったものの、そのまま呪いの大樹の身体はヘドロのようにドロリと溶けていて。

「下がれ!」

「……後退しろ!」

 嫌な予感を感じたショウキとキズメルの指示は同時だった――それはどちらもが遅かったことを意味していた。文字通りにヘドロのように溶けた大樹は、そのまま地面や近くにいたエルフを濁流の如く飲み込んでいき、全てを石化して広がっていく。

「アーたん!」

「ママ!」

 近くで戦っていたアスナの姿は……あった。どうにかキズメルだけは助けることに成功し、近くの大木の枝上へと避難していたようだ。鎮火作業をしていたエルフにショウキたちも、アスナを倣って濁流が届かない高所へと避難するものの、ひたすらに呪いは森を飲み込みかねない勢いで広がっていく。

「何これ、エルフの森が……!」

「ぐっ……!」

 ひとまずアスナたちに合流したものの、どうやら彼女たちに状況は分からないらしい。まるで大洪水でも起きて氾濫した河川のようになっている、呪いの濁流を見下ろし自らの非力さを嘆くキズメルも、無事ではすまなかったのか左腕だけだった石化が半身まで進行していて。

「……キズメル。何かないか、呪いの伝承に何か、解決策は」

「…………」

 投擲武器、魔法、それらをひとまず試してはみるものの、やはり濁流の前に効果はなく。天災だと思って待つしかないのかと、思案するキズメルに問いかけると。

「……巫女。巫女の祈りだ。それで呪いは鎮まったと聞く」

「巫女……?」

「祈り……」

 もちろん、この場にいる者どころか知り合いにすら巫女などいない。それはもちろん他の者も同様だろうが、飛翔できないためにショウキに抱えられるように掴まっていたプレミアが、どうしてか得心がいったかのように頷いた。

「ショウキ。祈ります」

「は――」

 ――驚愕の声を最後まで発することは出来なかった。両手を合わせて瞳を閉じたプレミアから、突如として目も眩むような閃光が発せられたからだ。

「呪いが……」

 ……そうして一瞬の後。プレミアの祈りによって生じた閃光とともに、呪いの濁流は欠片すら残さすに消え去っていた。濁流に飲み込まれていた者も、戦場で傷ついて石化していた者たちも、伝承通りに呪いが消え去っていて――高所に避難していた者たちが地面に降り立ち、もはや呪いは消え去ったのだと確信した直後、今度こそエルフたちから歓声が沸き上がった。

「プ、プレミア……何をしたんですか?
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