暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
「『あるばいと』として当然です」
[5/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
発車できるのもプレミアのおかげだから、そっちもお礼を言っておけヨー」

「あ、ああ……ありがとう」

「うん。でも師匠は止めてね」

 お疲れ様の印からか、ピクニックの余りのお茶を差し出してくれるプレミアに、馬車の通路を細剣で文字通りに切り開いてくれたこととともにお礼を言いながら。すぐに荒れた森からエルフたちが整備してくれた通路へと戻り、文字通りに爆走する馬車からはもはやワーウルフの姿は見えずにいた。

「ハハハ! 意外と楽しいナ!」

「……ひとまず、難は逃れたようだな」

「キズメル。他のエルフのみんなは……」

「私が戦った、呪いを発する親玉と戦っていないならば、自力で逃げられているだろう。しかし……」

「その親玉はどんな奴なんだ?」

「……そうだな」

 ……馬車を爆走させるのに少しハマってしまったらしい鼠はともかくとして。見張りをしていたキズメルからワーウルフを振り切ったと報告を受け、ショウキもひとまずは安心してプレミアから貰ったお茶で喉を潤して。やはり自分の名前を知っているアスナを、不審げに見つめるキズメルだったが、ひとまずショウキに先を促されたのを優先して。

「一見すればただの大樹だ。だが両手足を持っていて、そいつに掴まるか傷を与えられれば我々は石化してしまう」

「……それはあんなヤツのことカ!?」

 アルゴの警告に外を見れば、付近のものよりひときわ巨大な大樹が、馬車の進行方向に鎮座していた。それはキズメルの言った通りに両手足を備えており、瞳はなかったがどこかこちらを見下ろしているように感じられ、ゆっくりと馬車に手を伸ばしてきた。

「飛び降りロ!」

 鋭い警告とともに馬に飛び乗るアルゴ、引き裂かれる馬と馬車を繋いでいたロープ、急ブレーキをしたかのように崩れ落ちる馬車。そこからアスナとユイがキズメルを、ショウキがプレミアを抱えて脱出した直後、大樹に握りつぶされ馬車は原形を止めず粉々と化して。馬に乗ったまま走り去っていたアルゴの元に、粉々になった馬車を見返すことなく合流する。

 呪いの大樹――そんな意味が込められた名前が表示された、れっきとしたボスモンスターがショウキたちの前にはいた。

「いい機会だ……ここで貴様を打倒してくれよう!」

「キズメル、でも……」

「心配するな。奴を打倒さえすれば、石化の呪いは解かれるはずだ」

 石化した左腕を庇いながらも、キズメルは大樹に向けて雄々しく叫び放った。その叫びに呼応するかのように、脱出してきていた幾人かのエルフが合流し、大樹を取り囲むようにしながら武器を構えて。ただ石化の呪いが解かれるなどと言ったところで、石像になった後に砕けてしまえば元も子もない……石化した後に落馬して、粉々になってしまったあの御者のよ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ