「『あるばいと』として当然です」
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「テイムスキルなんてビタ一文あげてないがナ!」
アルゴに言われずとも敵襲でしかない。まずは何より、依然として森の中を暴走する馬をどうにかする必要があると、とにかくプレミアの安全を守りつつ馬の停止をアルゴに頼む。馬に近かったから、ケットシーだったから、という理由からの頼みだったが、あまり頼もしくない返答が帰ってきた。
「……ま、こんなもんだナ」
「流石です。拍手したいところですが出来ません」
とはいえどうにか暴れ馬の制御に成功したようで、若干ながら震え声で馬にまたがるアルゴへと、馬車の天井にへばりついたプレミアから驚嘆の声が送られる。暴れ馬は何らかの攻撃を受けて馬車を牽いたまま森に突入してしまい、それを止めるべき御者エルフが敵の攻撃で石化してしまった……というところか。馬車の乗ったまま付近を見て回れば、どこも似たような騒ぎが起きているようだ。
「……大丈夫か!」
「キズメル……!」
とにかく分からない状況の把握も兼ねて助けに行くべきか、とまで考えたところで、草木をかき分けてキズメルと呼ばれたエルフが現れる。ただしその左腕は石化しており、あちらも無事では済んでいないようだ。血相を変えたアスナが馬車から飛び降りて、急ぎヒールの呪文をかけるものの、ダメージは回復するものの石化には通用しない。
「……すまないが、人族のまじないでもこの呪いには無駄だ。説明が遅れたが、我々を石化するこの呪いを使う化物に我らは追い込まれている……」
「……石化するのはエルフのみってことで、オレっちも交渉できた訳だがナ」
「あいにくこのザマだがな。無礼を働いてしまったが……力を貸して貰えないだろうか」
「ママ、敵が来ます!」
石化の呪いを使う化物。左腕をかばって馬車に腰かけるキズメルは、エルフたちが陥った状況をそう語る。そして呪いはエルフ以外に通用しないということから、アルゴを通して人間たちに力を貸してもらうつもりだったということも。そうして話しているキズメルを追ってくるように、幾人ものワーウルフが馬車を囲むように現れる。
「っ……!」
「キズメルは休んでて。私たちが戦うから」
「しかし……」
「この子はまだ戦い方を覚えたばかりなんだ。守ってやってほしい」
「……わかった。すまない」
とはいえワーウルフたちに石化の呪いを施せるとは思えず、アレらはただのしたっぱだろうとショウキも馬車を飛び降り、やる気充分のアスナに並走する。キズメルも参戦するつもりだったようだが、無理やりプレミアのお守りを任せて動きを封じると。
「ショウキくんは大丈夫なの?」
「……まあ、足手まといにはならないよう頑張らせてもらうよ」
「なら、いくわよ!」
新しいアバターになって
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