第70話『VS.魔王軍幹部』
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「どうして…? 貴方の電撃は効かないはずじゃ…」
「そりゃ、外側は…頑丈かもしれねぇけど、内側は…そういう訳じゃないだろ…?」
「くっ…! し、しかし、貴方の左腕はもう使い物になりません!」
終夜は横目に見ると、そこには血がダラダラと垂れ流され、所々関節も正しい方向を向いていない無残な左腕の姿だった。獅子の体重が一気に乗っかれば、そりゃ人間の腕では耐えることなどできるはずがない。脳から指示を送ってみるが、もう指先一つ動きやしなかった。
「もう貴方に勝機は無いのです! 大人しく諦め──」
その瞬間だった。
遠くの方から大きな地鳴りと、轟音が聞こえてきた。森がざわめき始め、終夜は後ろを振り返り、何事かと目を見張った。
「何ですの、今の魔力は…?」
「まさか、暁…?」
困惑するウィズをよそに、終夜は考える。
今のは"爆発"と捉えて相違ない。となると、爆発の正体の可能性があるのは伸太郎ただ一人。終夜は結論に苦笑いすると、再びウィズに向き直った。
「アイツも頑張ってんだ……部長の俺が負けるなんて、できねぇよ…!」ビリッ
「ちょっと貴方、何をしているの?」
「……ふぅ。なに、ちと左腕を麻痺させただけだ。あれじゃ痛くて敵わねぇ」
「痛覚を麻痺させた…? なんて荒療治を」
ウィズの言う通り、これはもはや治療ではない。時間さえあれば治癒魔術でもかけたが、戦闘中にそんな暇もなし。まして、戦闘はまだ続いているのだ。今はこうするのが最善策である。
「か、片腕だけで挑むなど、正気じゃない!」
「かもな。でも、生ある限り足掻くのが、人間の性ってもんよ」
「……っ!」
終夜の破天荒な行動にウィズは焦りを見せる。しかし、隻腕なのも事実。ウィズは新たに魔法陣を展開すると、更なる召喚を試みた。
「"疾風を支配する悪魔に告ぐ。我が呼びかけに答え、現界せよ"」
『キエーッ!』バサッ
現れたのは、天狗に似ている悪魔だった。しかし、黒い翼と鳥の頭を見る限り、"烏天狗"なるものに近い。獅子とは打って変わって和風の白い装束を身にまとい、右手に天狗の代名詞とも呼べる団扇を持っていた。
烏天狗は空高く舞い上がり、終夜たちを俯瞰している。
「今度は鳥かよ…!」
「得意の雷で落としてみたら如何です?」
「言われなくても! 黒雷鳴!」ドゴン
黒雲が無くとも簡易的に雷を落とせるのが終夜の能力。威力は本物に劣るが、速さはさほど変わらない。だから避けるのは困難なはずなのだが──
『クワッ』ヒュ
「マジかよ」
空中とは思えない機動力で烏天狗は雷
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