第70話『VS.魔王軍幹部』
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大なものだ。重圧にも似たそれを肌でヒシヒシと感じていると、鳥肌や冷や汗が止まらなかった。軽口でも叩いていないと、気が持たない。
「ですが、今さら隠したところで意味は無いでしょう。先手は戴きますよ」ヴォン
「魔法陣・・・」
「"闇の奥深くに眠る魂へ告ぐ。我が呼びかけに答え、現界せよ"」
ウィズが詠唱を終えると、足元に出現していた紫色の魔法陣から何かが這い出てこようとしているのが見えた。その正体を知った終夜は驚愕する。
「無魂兵・・・お前が召喚してたのか」
「えぇ。あれほどの数は造作もありません」
「笑えねぇ冗談だ」
広場を埋め尽くすほどの無魂兵の大軍を思い出す。召喚魔術は一体ずつ召喚するのが普通。にも拘らず、その条理を悠々覆した眼前の魔女の魔力は、もはや無尽蔵に等しいのではないか。
「けどよ、俺にとっちゃコイツは雑魚に等しいんだよ!」バリィ
「あらあら」
召喚されたての無魂兵を黒雷で一蹴。真っ黒に焦げた骸骨は、灰となって大地へと還る。
しかしウィズは全く臆することはなく、ただ首をやれやれと振っていた。
「確かに無魂兵では貴方の相手は難しそうですね。でしたら、これは如何でしょう?」ヴォン
「…!」
ウィズが不敵に笑った瞬間、終夜の背中に悪寒が走る。殺気に当てられたのか、はたまた魔性に当てられたのか。とにかく、形容しがたい何か禍々しいモノを向けられている気がした。明らかに魔力の質が変化している。
「"獄炎を支配する悪魔に告ぐ。我が呼びかけに答え、現界せよ"」
「まさか…!」
『──ッ!!』
森中に響くほどの咆哮をしながら現れたのは、"紅蓮の獅子"と言ったところか。体長は普通の獅子よりも二倍はある。紅い眼に鋭い牙や爪、そして焔の鬣が特徴的だった。そしてウィズの詠唱から予想できたが、獅子は火の粉を体に帯びている。
「炎が相手か。生憎だが見慣れてんだよ」
「その余裕がどこまで続くか見物です。行きなさい!」
『──ッ』ゴオッ
獅子はその凶暴な口を大きく開くと、大地を焦がす程の炎の玉を放った。強烈な熱風で気温は一気に上昇し、汗が自然と噴き出る。咄嗟に終夜は横に躱したが、放たれた火の玉は地面に着弾すると火柱を上げて燃えていた。
滴る汗を拭いながら、終夜はニヤリと笑う。
「中々物騒な奴を召喚してくれたもんだな。こりゃ骨が折れそうだ」
「だったらその骨すら燃やして差し上げます。やりなさい」
『──ッ!』ダッ
咆哮を上げると、獅子は終夜に向かって真っ直ぐに突進してした。その大きな巨体に突進されればもちろんだが、爪や牙に掠ったとしても大怪我の
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